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NPO会計ソフトでの会費等の扱い。 投稿者:hora塾 投稿日:2006/12/06(Wed) 09:08:19 No.6541
お世話になっております。教育支援と町おこしの活動をするNPOです。

今年度から収益事業を開始したので、このBBSでも話題になっているNPO会計王を購入して会計処理に挑戦することにしました。
私どもでは、法人税法上の非営利のいくつかの事業のほかに収益事業も複数行なっていますので、これらを各部門に設定して、各部門(事業)個別の決算と全体の決算を出せれば分かりやすくできるのかなと考えています。

そこで、会費や寄付金など収入の取扱ですが、共通部門とは別に総務部門を設けて会費や寄付金の窓口とし、「繰入金支出と繰入金収入」や「仮受金と仮払金」で各事業に割り当てる方法でよいのでしょうか。

会計の仕組みが、まだよく分からないので、初歩的な質問で恐縮ですが、この場合の問題点や他によい方法があったらご教授ください。
よろしくお願いいたします。
Re: NPO会計ソフトでの会費等の扱い。 投稿者:公認会計士 岩永清滋 投稿日:2006/12/19(Tue) 17:26:18 No.6562
明確にどれかの事業に関連しているものというのであれば別ですが、一般的な会費や寄付金はしいて事業別に振り分ける必要はありません。共通部門あるいは総務部門で一括して計上すれば良いと思います。
Re: NPO会計ソフトでの会費等の扱い。 投稿者:hora塾 投稿日:2006/12/22(Fri) 08:49:04 No.6570
岩永さん、こんにちは。レスありがとうございました。
返信をいただいたのに遅くなって失礼いたしました。
一般的な会費や寄付金はしいて事業別に振り分ける必要はありません。

全て本来事業の非収益事業ならば、ご指摘の様に一括計上でもよいと思います。
しかし、収益事業の場合は事業別に税務署に報告しなければならないであろうし、せっかくの会計ソフト利用であるので、全体像と事業別の収支を明確で分かりやすくしたいと考えております。

NPOの会計の収入である会費や寄付金が、本来繰り越すべき性質のものでないのなら、当然どれかの事業に振り分けての利用となります。
また、会費や寄付が個別事業へのものでない場合、始めから事業別の資金に繰り入れておくと会費や寄付の全体像が見えにくくなってしまいます。
なので、総務部門で会費と寄付の全体を視覚化し、事業単位でも明確にと考えました。

慣習的な会計上、あるいはソフトの性質上、不都合がございますでしょうか。会計素人ですので自信がなくてお尋ねしております。
共通部門への計上を避けたのは、会費収入が共通経費とは趣旨が違うとの判断からですが、そういった方法でも会計上は問題とされないのでしょうか。会計は難しいです。
Re: NPO会計ソフトでの会費等の扱い。 投稿者:公認会計士 岩永清滋 投稿日:2006/12/29(Fri) 11:48:44 No.6582
hora塾さん、岩永です。

しかし、収益事業の場合は事業別に税務署に報告しなければならないであろうし、


ここの部分なのですが、法人税が要求するのは収益事業部分だけを明確にせよと言っているので、すべての会計報告に事業別会計を要求はしていません。
そして収益事業の収入とされる会費や寄付金は、最初から収益事業の経費を補填する目的のものだけに限られています。そのような使途特定の会費や寄付金は収益事業の収入としなくてはいけません。

しかし一般的には、会費や寄付金はそのNPO法人全体の活動に対してされるものです。それを法人内部で使途を検討して、仮に収益事業部分に使ったとすれば、それは会費や寄付金そのものではなく、一般会計よりの繰入金収入になります。この部分は一種の収益事業部門の赤字補填的な意味合いになります。法人税の計算は、このような補填計算をする前で判断します。
 というのは、仮に収益事業の事業収入だけで計算して黒字だとして、その剰余を非営利部門に繰り入れた場合(一般的にはこの事態を想定しています)、法人税の計算は繰入前の黒字金額で計算するからです。

何らかの基準で按分して、どうしても事業ごとの収支を明らかにしたいと思われるのならそれでもかまいませんが、税務署への申告時には「一般会計よりの繰入金収入」として報告された方が良いと思います。会費や寄付金の名称で報告すると、最初にいった「収益事業の経費補填のための会費や寄付金」とみなされ、それまでも課税対象になるおそれがあるからです。


Re: NPO会計ソフトでの会費等の扱い。 投稿者:hora塾 投稿日:2006/12/30(Sat) 10:36:57 No.6583
岩永さん、こんにちは。
丁寧なご説明ありがとうございました、hora塾です。
収益事業の収入とされる会費や寄付金は、最初から収益事業の経費を補填する目的のものだけに限られています。

たいへんよく分かりました。
ご指摘の様に、私は会費等を収益事業の収入の一部として想定しておりましたが、あくまで赤字補填として扱う趣旨のものというわけですね。
収益事業への会費や寄付金の充て方は、最終的に赤字が出たときの計上に限ると。
最初の理解では、法人税の計算方法も誤るところでした。
ありがとうございました。

会計については、非収益事業も含め、やはり事業別に会計を明らかにしたいと考えています。(会計ソフトの有効利用にこだわっています)
一般会計となる全体会計から収益事業部分を抽出して申告をとのことですが、これを事業別処理で考えた場合、非収益事業に会費や寄付を按分して、さらにそこから収益事業への赤字補填にまわすよりは、管理部門を置いて会費等を計上して一般会計管理的な役目を持たせて全体の会費等の額を明らかにし、そこから非収益事業に按分、あるいは収益事業への補填した方がよいと考ます。
もちろん、予算、決算の段階で管理部門に補填分が残らなければ、いずれかの非収益事業からの収益事業への補填となる場合も考えられます。

繰り返しになって恐縮ですが、この様な方法でも会費や寄付金の扱いに税務上の問題は生じないでしょうか。
Re: NPO会計ソフトでの会費等の扱い。 投稿者:公認会計士 岩永清滋 投稿日:2006/12/30(Sat) 16:03:22 No.6584
おっしゃる方法で、税務上問題は生じません。

なお、話がややこしくなるのですが、法人税法上の非収益事業と収益事業の区分と、NPO法上の非営利事業とその他事業の区分は、一致しません。NPO法上は本来の非営利事業であるのにもかかわらず、法人税法上は収益事業とされるケースもあります。

しかし、法人税法上の収益事業とNPO法上のそのた事業が一致するケースもよくあります。この場合、非営利部門から収益事業へ繰り入れる(赤字補填)ことは、法人税法上は何の問題もありません。しかし、NPO法上は問題とされる場合があります。つまり、NPO法人というのは、本来の非営利事業を行うために設立された法人であり、その本来事業を助けるためにその他事業から資金を入れることはかまわないけれども、非営利事業(管理部門、一般部門でも同じ)から収益事業へ繰り入れることは、本来のあり方ではないと考えられるのです。つまり、会費や寄付金は、本来そのようなことのために使うことが目的ではないという考え方です。

その他事業(法人税法上の収益事業と一致している場合)が、2期連続して赤字になっていると、所轄庁から説明を求められる場合があります。

ご参考にして下さい。
Re: NPO会計ソフトでの会費等の扱い。 投稿者:hora塾 投稿日:2006/12/30(Sat) 17:55:43 No.6585
岩永さん、こんにちは。
早々のレスありがとうございました。
法人税法上の収益事業とNPO法上のそのた事業が一致するケースもよくあります。この場合 ~ 本来事業を助けるためにその他事業から資金を入れることはかまわないけれども、非営利事業(管理部門、一般部門でも同じ)から収益事業へ繰り入れることは、本来のあり方ではない

なるほど勉強になります。私どものNPOは、現在、その他の事業を行っておりませんが今後の参考にさせていただきます。

それにしても、非営利活動をするNPOでありながら、その本来事業に法人税法の収益事業と非収益事業を区分しなければならないなんて、しかも法人税法上の収益事業であるかないかは恐ろしく複雑。これにその他の事業が加わりNPO法で縛られるのですから(++!
おまけに本格的な会計ソフトでさえ法人会計に手を加えただけでこの辺りの区分も曖昧、広告の様にとても簡単とは言い難いと感じております。

このサイトのお蔭で、何とか今年の内にまた一つ疑問を解決でき来年に繋げることができそうです。心より感謝いたします。
今後もご迷惑をおかけするかと思いますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。
それでは、よいお年をお迎えください。岩永さん、ありがとうございました。

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