モトオカさん、
ご投稿ありがとうございます。
公益法人とは、民法34条に定義されている社団法人、財団法人を言います。
民法34条では、「公益かつ非営利の団体は、主務官庁の許可を得て法人となることが
できる」と定めています。
つまり、公益法人になるためには、主務官庁(行政)から「公益」であると認めても
らい、許可を得ることが必要です。しかし、この「公益」であるか否かの判断には、
明確に示された基準がなく、行政の裁量によって決められてしまっている、という問
題があります。
NPO法を作る時は、こうした行政の裁量権をできるだけ排除し、要件を備えて、書
類を揃えて申請すれば4ヶ月以内に法人となることができるようにしようとしました。
そのために、届出だけで法人が設立できるようにしようとした経緯があります。
また、NPOの範囲はできるだけ狭めないように分野による限定もしないように試み
ました。しかし、NPO法は、民法34条の特別法として立法するという形式を法制局
が譲らなかったために、民法34条と整合性を持たせなければいけない、という問題が
発生しました。この問題とは、具体的には次の2つの点です。
1つは、NPO法は民法34条の特別法であり、民法34条が公益法人の設立を行政の許
認可の範囲においていることから、NPO法においても、法人の設立は、届出ではな
く行政の許認可のもとにあるべきとされたこと。
2つ目は、NPO法は、民法34条の特別法であるから、その対象となる団体の範囲は、
民法34条の範囲(公益かつ非営利)よりも限定されたものであるべきと言われたこと。
この2点は、衆議院法制局が強く主張した点です。シーズをはじめとするNPO側は、
特別法で一般法を修正することには何の問題もないし、また特別法は一般法に優先す
るから、分野を限定する必要はないし、届出でもかまわない。という主張をたてて、
法制局と議論を戦わせました。
最終的には税制上の問題(民法34条の特別法にもとづく法人なら原則非課税であるが、
民法33条の特別法にもとづく法人となった場合は原則課税となること)もあり、民法
34条の特別法でNPO法を立法するということになりました。
そのために、届出制ではなくて所轄庁の認証という認可の一形式による法人の設立と、
分野を限定するということで、例の12の分野を定めるという結論が出てきた訳です。
ただし、認証といっても書類審査のみで行政庁の裁量の余地をほとんど無くすこと、
および12分野には限定するが、その12分野の解釈においては、できるだけ広い
解釈とし、ほとんど全てのNPOが含まれることとする、と読むとして玉虫色の決着
が図られた訳です。痛み分けといったところでしょう。
これが、公益法人制度による障害でした。
さらに、他に参考としては、シーズのホームページのトップページから「基礎知識」
のコーナーに飛び、そこから「NPO法立法の意義」「立法過程での主な争点」「公益」
も見ていただくと良いと思います「基礎知識」には、次のアドレスからも直接飛ぶこと
できます。
http://www.npoweb.gr.jp/0101/0101.htmlそれでは、またご質問がございましたらお寄せください。
シーズ事務局・松原 明/轟木 洋子