田中さん、赤塚です。
田中さんは書きました:
本来事業(野生生物の保護)に対して民間助成を受けております。
すでに助成金全額の支払いを受けているのですが、
(事業終了後に会計報告とともに未使用分があれば返還する)
助成対象時期が複数年度にまたがる場合、
翌年度に行う事業に対する収入は、
どのように処理したら良いのでしょうか?
ちなみに、当団体は3月末が決算であり
助成金の対象時期は、7月から1年間となっております。
ご教示のほど、よろしくお願いいたします。
助成金をもって行う事業が複数年度にまたがる場合の助成金収入の計上時期の問題ですね。
会計の原則は収入に関しては実現主義(確定主義)ですので、最終的に全額返還する可能性も残っているのであれば、当期は全額を前受金として、収入が確定する翌年度に助成金収入へ振替えることが考えられます。この場合、当年度に既に実行した分の経費は前払金に計上し、やはり全額を翌期の事業費とすることになります。
しかし、既に実行した部分に関して返還となる可能性がないのであれば、上記の処理はむしろ実態を反映していないということになります。つまり、助成金収入を当期の実行済み分と翌期の予定分に按分し、前者を当期の収入とし、後者を前受金として翌期へ繰り越す処理の方が現実的だということです。
この場合は、どういう基準で按分するかが問題となります。田中さんのケースは事業費の100%助成のようですから、もしそうであれば、既に実行した事業費相当額が当期の収入で翌期の予定分が前受金ということになります。
しかし、一般的には100%助成のことは少なく、事業費の一部助成の場合が多いと思います。その場合は、全体の事業費に占める当期の実行済み分の割合で按分することになります。また、翌期分の経費が確定できない等の事情があるときは、たとえば月割り(今回のケースであれば12分の9を当期の助成金収入として12分の3を前受金とする)等の簡便法も容認されるのではないかと思います。
ときどき見かけるのですが、全額を当期の収入として、翌期の支払見込み額を未払計上して、すべて当期中の処理にしてしまう方法も考えられないわけではありませんが、この方法は事実を反映していませんので、間違っていると言わざるを得ません。
公認会計士・赤塚和俊