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発起人会の目的 投稿者:あかるいさかな 投稿日:2000/03/03(Fri) 18:22:00 No.68
都道府県に申請し、法人になる前に、発起人会をおこなう必要がある、ときいていますが、
法律等により、発起人会で、特におこなわなければならない儀式、または、発起人会で
決めなければならないこと、などはあるのでしょうか?
個人的には、発起人会の目的は、設立に参加した人々が会の理念や方針を再確認するため
と考えていますが、それでいいのでしょうか?

よろしくおねがいします。
Re: 発起人会の目的 投稿者:シーズ事務局(轟木) 投稿日:2000/03/07(Tue) 16:01:00 No.69
あかるいさかなさん、こんにちは。ご投稿ありがとうございます。

発起人会についてのお問い合わせですね。
さて、まず「発起人会」という言葉ですが、この言葉を用いずに「設立総会」と呼ぶ場合もあり
ます。新しく会を立ち上げて、これから社員(正会員)募っていこうという時には「発起人会」、
すでに任意団体として存在していて、法人格を取得しようという時には「設立総会」と呼ぶこと
が多いようです。

発起人会や設立総会が「必要」というのは、特定非営利活動促進法(NPO法)の第十条に定められ
た提出書類のひとつに「設立についての意思を決定を証する議事録の謄本」とあり、団体の意思
として法人化を決定したという証拠が必要ということもありますが、その他にも、この発起人会
や設立総会は、法人になって運営していくにあたっての「決めごと」を確認する重要な場です。

まず認証申請の際に提出すべきものを確認してみましょう。
上記の議事録の謄本も含めて、設立の認証を受けようとする時は、全部で16の書類を提出しな
ければなりません。それらは以下のものです。
・認証の申請書
・定款
・役員名簿
・各役員の就任承諾書
・役員のそれぞれの住所又は居所を証する書面として総理府令(又は条例)で定めるもの
・役員の宣誓書の謄本(禁治産者【注1】ではないこと、暴力団との関係がないことなどについて)
・役員のうち報酬を受ける者の氏名を記載した書面
・社員(正会員)のうち10人以上の氏名と住所又は居所を記載した書面
・宗教活動や政治活動などを主たる目的としないことなどを確認したことを示す書面
・設立趣旨書
・設立者名簿
・設立についての意思の決定を証する議事録の謄本
・設立当初の財産目録
・事業年度を設ける場合には、設立当初の事業年度を記載した書面
・設立の初年および翌年の事業計画書
・設立の初年及び翌年の収支予算書

上記の全てを発起人会や設立総会で話し合って決める、というのもひとつの方法です。
しかし、最低限のことだけにとどめたいという場合、求められるのは次のことがらです。
①設立の意思を確認すること
②法人(団体)が宗教活動や政治活動などを主たる目的としないことなどを確認すること
③設立者を任命し、委任する権限の範囲を決めておくこと

この場合、設立者へ委任する権限の範囲によっては、設立者が定款を作り承認し、役員を決め、
議事録を作成し、事業計画や収支予算書もつくることなどが可能になります。
また、例えば定款の承認などを発起人会または設立総会でする場合でも、認証申請にあたって微
少な変更をしなければならないことがよくあるため、この場合の定款変更の権限を設立者に委任
する、としておけば、もう一度発起人会または設立総会を開催するべきかどうか悩んだり、あと
でトラブルになるのを避けることができます。

しかし、上記の最低限にとどめる場合においても、その後のトラブルを防ぐために次のことはし
ておいた方が良いと思われます。
ア)発起人会または設立総会の議事録を確認して署名するひとを決めておくこと
イ)法人の主たる事務所の所在地について、定款上は地番地まで書かず最小行政区画までにとど
める場合、発起人会または設立総会で地番地を決めたという記録を残しておくこと

ア)は、その議事録に書かれていることが、発起人や設立総会で決まったことを正確に反映して
いるかどうかを確認するとともに、決定事項に関する争いが後日起こらないようにする目的があ
ります。ですから、団体の運営にとって必要ですが、所轄庁への申請に関して必要という訳では
ありません。
イ)は、設立の登記時において、登記する主たる事務所住所が実際に法人の住所であることを証
明する添付書類が要求されますが、定款に地番地まで書いてない場合、発起人会または設立総会
の議事録に記された「事務所をその住所に置く」という地番地まで含めた決議の記録が、その証
明書類として使えるからです。

以上、最低限決めるべきことについて書いてきましたが、あかるいさかなさんも書いていらっし
ゃるように、法人設立前に、会の理念や方針を確認することはとても重要です。法人は、その団
体の活動目的に向かって進むためのひとつのステップですから、法人手続きに入る前によく議論
して、しっかりとしたビジョンを持つことが何よりも大切です。そのことから考えると、本来は
次のことなどが必要となるでしょう。
1)設立意思の確認
2)設立者メンバーの確定(設立者名簿の承認)
3)設立趣旨書の承認
4)定款の承認
5)設立当初の財産目録および2年分の事業計画および収支予算の承認
6)設立当初の役員の選任
7)団体の主たる目的が宗教活動や選挙活動にないことの確認
8)設立代表者の選任と権限委譲について

これらの他にも、団体の名称、会費の額、その他、団体によっては他にもいろいろと話し合うこ
とがあることと思います。
では、またご質問がございましたら、ご遠慮なくお尋ねください。

シーズ事務局・轟木 洋子

注1:「禁治産者」は、民法の禁治産者制度が改正され、成年後見制度(民法の一部改正法)が
施行される2000年4月以降は「成年被後見人」又は「被保佐人」と呼ばれるようになります。

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