English Page
税理士法違反といわれました 投稿者:十字峡 投稿日:2007/05/28(Mon) 13:15:40 No.7022
いつも「なんでも質問箱」のお世話になっている中間支援組織のものです。
税務に関する相談対応についてお尋ねします。

今日、某国税局担当官より、我々のような資格のないものが税務相談(範囲は広いと思いますが)に答えることは、税理士法違反になるといわれました。法律上はその通りでしょうが、現実にはすっきりしません。
この「なんでも質問箱」でも税務に関する質問が多く、それだけNPOの人たちが悩んでいることの表れかとも思います。

例えば認定NPO法人制度に関して相談を受けた場合、どこまで答えることが出来るのでしょうか?制度概要は○、PSTの簡単な計算は×?
具体的な質問は税務署に聞けといわれたが、地元の税務署で認定のことを知っている職員はいないが、管轄国税局に聞くとなると時間、費用がかかります。昨年内閣府主催で認定NPO法人制度の普及を図るセミナーがありましたが、国税局の人の話は通り一遍で、具体的に痒いところに手の届く回答を求めて、我々のような中間支援組織に相談されるのが現状です。

また当センターでは各種講座で税務の話もし、認定の話もします。収益事業ってなに?という質問が一番多いです。これも違反事項に当たるのでしょうか

全国の支援センターではどのように対応されているかもお教えいただければ幸いです。
大変長くなり申し訳ありませんが、アドバイスをお願いします。

Re: 税理士法違反といわれました 投稿者:十字峡 投稿日:2007/06/12(Tue) 19:51:52 No.7055
どなたからもレスがないので、再度確認の意味でお尋ねします。

この件で専門家のみなさんのご意見がお聞きできればうれしいです。よろしくお願いします。
Re: 税理士法違反といわれました 投稿者:税理士 脇坂誠也 投稿日:2007/06/15(Fri) 13:10:48 No.7066
十字峡さん、こんにちは

回答が遅くなりすみませんでした

ちょっと微妙な問題でしたので、NPOを支援している税理士、会計士や中間支援組織などがメンバーのNPO会計税務専門家ネットワークのメーリングリストで意見を聞いていました

いろいろな意見があり、ここですべてをご紹介するわけにはいきませんが、最大公約数としては

(1) 税務相談については、一般的な解説であれば無資格者でもいいが、個別案件を解釈するのは禁止されている

(2) 認定NPOについては、制度の紹介は無資格者でもいいが、個別の相談は基本的に禁止されている

というところでした

詳しい議論の内容を知りたければ、NPO会計税務専門家ネットワークに加入していただければ、過去のメーリングリスト上の議論も見ることができます。
http://www.npoatpro.org/potal/modules/tinyd0/index.php?id=2
から入会ができます。


Re: 税理士法違反といわれました 投稿者:ながりん 投稿日:2007/06/15(Fri) 15:37:19 No.7068
申し訳ありませんが、同じような質問なので便乗させていただいて、よろしいでしょうか。


十字峡さんは書きました:
今日、某国税局担当官より、我々のような資格のないものが税務相談(範囲は広いと思いますが)に答えることは、税理士法違反になるといわれました。法律上はその通りでしょうが、現実にはすっきりしません。


中間支援組織で法人設立・運営の相談に乗っています。法人の認証申請や登記、労務、税務関係の個別具体的な相談です。

税理士法だけでなく、司法書士・行政書士・社会保険労務士法などの各法律に違反していないか心配です。

もし、違反となれば資格者の方との提携などを検討するなど対策を考えなければいけないかなとも思っております。

お忙しい中、申し訳ありませんが、ご教授のほどよろしくお願いします。
Re: 税理士法違反といわれました 投稿者:弁護士 浅野晋 投稿日:2007/06/17(Sun) 12:16:02 No.7069
十字峡 さん

1、税理士法52条は、「税理士又は税理士法人でない者は、この法律に別段の定めがある場合を除くほか、税理士業務を行つてはならない。」と定めており、同法59条は、これに違反した者に対し「二年以下の懲役又は百万円以下の罰金」に処する事を定めています。
問題は税理士法52条にいう「税理士業務」とは何かということです。
この「税理士業務」については、税理士法2条に次のような業務が税理士業務で あるとして定められています。

   第二条  税理士は、他人の求めに応じ、租税(印紙税、登録免許税、関税、法定外普通税(地方税法 (昭和二十五年法律第二百二十六号)第十三条の三第四項 に規定する道府県法定外普通税及び市町村法定外普通税をいう。)、法定外目的税(同項 に規定する法定外目的税をいう。)その他の政令で定めるものを除く。以下同じ。)に関し、次に掲げる事務を行うことを業とする。
   一  税務代理(税務官公署(税関官署を除くものとし、国税不服審判所を含むものとする。以下同じ。)に対する租税に関する法令若しくは行政不服審査法 (昭和三十七年法律第百六十号)の規定に基づく申告、申請、請求若しくは不服申立て(これらに準ずるものとして政令で定める行為を含むものとし、酒税法 (昭和二十八年法律第六号)第二章 の規定に係る申告、申請及び不服申立てを除くものとする。以下「申告等」という。)につき、又は当該申告等若しくは税務官公署の調査若しくは処分に関し税務官公署に対してする主張若しくは陳述につき、代理し、又は代行すること(次号の税務書類の作成にとどまるものを除く。)をいう。)
   二  税務書類の作成(税務官公署に対する申告等に係る申告書、申請書、請求書、不服申立書その他租税に関する法令の規定に基づき、作成し、かつ、税務官公署に提出する書類(その作成に代えて電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他の人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。第三十四条において同じ。)を作成する場合における当該電磁的記録を含む。以下同じ。)で財務省令で定めるもの(以下「申告書等」という。)を作成することをいう。)
   三  税務相談(税務官公署に対する申告等、第一号に規定する主張若しくは陳述又は申告書等の作成に関し、租税の課税標準等(国税通則法 (昭和三十七年法律第六十六号)第二条第六号 イからヘまでに掲げる事項及び地方税に係るこれらに相当するものをいう。以下同じ。)の計算に関する事項について相談に応ずることをいう。)

2、まず、「業とする」ということですが、税理士法基本通達2-1によると、これは「税理士法2条1項各号に定める事務を反復継続して行い、又は反復継続して行う意思をもっておこなうことをいい、必ずしも有償である事を要しない。」とされています。

3、問題の「税務相談」については、上記通達2-6は次のように述べています。
  「法第2条第1項第3号に規定する『相談に応ずる』とは、同号に規定する事項について、具体的な質問に対して答弁し、指示し又は意見を表明することをいうものとする。」

4、これだけでは抽象的すぎてよく分かりませんが、日本税理士連合会が編集した「新 税理士法」(二訂版)53頁はこの「税務相談」について次のように解説していま す。
「『税務相談』とは、税務官公署に対する申告等、税務官公署に対してする主張もしくは陳述又は申告書等の作成に関し、租税の課税標準等の計算に関する事項について相談に応ずることをいう。」
「『相談に応ずる』とは、具体的な質問に対して答弁し、指示し又は意見を表明することをいうものであり、単に仮定の事例に基づき計算を行うことまでは含まない。また、一般的な税法の解説なども税務相談には該当しない。」

5、また税理士法の他の解説書には次のように書かれています。
「『相談に応ずる』とは、……納税義務者の具体的事実について行うことを必要とし、一般的な租税法の解説、講習会に於いて仮説例に基づいて税額の計算練習をするような行為などは、ここにいう『税務相談』には該当しない。」

6、従って、特定のNPO法人の税金の申告に関し税額計算をするのはアウトですが、計算方式を教示したり、仮説例で税額の計算をしたりすることはセーフということになります。

                      弁護士 浅野晋
Re: 税理士法違反といわれました 投稿者:十字峡 投稿日:2007/06/20(Wed) 21:14:39 No.7085
脇坂様、浅野様
ご専門の見地からの貴重なアドバイス、ありがとうございました。
一般的な相談に対応するのは可能だが、個別案件は駄目ということですが、「我々の○○事業は課税対象になるでしょうか?」「△△事業は収益事業の33業種のどれに該当しますか?」という質問には答えることができるのでしょうか、ご教示いただければ幸いです。

法律的には先生方の仰るとおりですが、現場で日々相談に応じる立場のものとしては、制度が現実に追いついていない印象がぬぐえません。認定NPO法人適用要件の具体的な相談には数多くのってきましたが、今後はこれもできないということですね。
Re: 税理士法違反といわれました 投稿者:公認会計士・赤塚和俊 投稿日:2007/06/21(Thu) 11:38:17 No.7086
十字峡さん、赤塚です。

十字峡さんは書きました:
脇坂様、浅野様
ご専門の見地からの貴重なアドバイス、ありがとうございました。
一般的な相談に対応するのは可能だが、個別案件は駄目ということですが、「我々の○○事業は課税対象になるでしょうか?」「△△事業は収益事業の33業種のどれに該当しますか?」という質問には答えることができるのでしょうか、ご教示いただければ幸いです。

法律的には先生方の仰るとおりですが、現場で日々相談に応じる立場のものとしては、制度が現実に追いついていない印象がぬぐえません。認定NPO法人適用要件の具体的な相談には数多くのってきましたが、今後はこれもできないということですね。

収益事業の判定に関しては「一般的には、こういうことが課税要件(あるいは非課税要件)とされています」、33業種に関しても「一般的には○○業と判断されるためにはこういう要件があります」と言った上で「最後はご自身で判断されるか専門家にご相談下さい」とするしかないでしょう。
あくまで個別のケースについての判断を示すのではなく、一般論を提示して判断してもらうというスタンスです。ただ、一般論と言っても参考書やこの質問箱も含め色々なQ&Aには、かなり具体的なケースも取り上げられていますので。自分の見解という形ではなくこういうものを示すことは可能でしょう。
それから、認定NPO法人適用要件の具体的な相談ですが、これは私の全く個人的な見解ですが、やって構わないと思います。もちろん法律的には微妙ですが、法人税の判断等に比べれば、誰も問題にしない(できない)と思います。こういう公開の(しかも文章が残る)場では、建前でしか回答できないこともあることもご理解下さい。       公認会計士・赤塚和俊
Re: 税理士法違反といわれました 投稿者:十字峡 投稿日:2007/06/22(Fri) 13:03:57 No.7089
赤塚様
大変ご丁寧なご回答をいただき、ありがとうございました。今後はご教示いただいた方法で相談対応に当たりたいと思います。

- WebForum -