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総会時期の変更に伴い事業年度は変更すべき? 投稿者:hiroshi 投稿日:2007/06/29(Fri) 23:59:12 No.7112
事業年度が12月末日までで,総会を2月初めに開催してきましたが,事情により,総会を7~9月にすることになり,今年は8月下旬に開催します。
今後もこのようにした場合,年度終了後の2月頃にも総会を開く必要があるでしょうが,全国組織のために,年2回も無理です。
8月の総会で定款を変更し,事業年度を例えば6月末日までに変更すべきでしょうか?

もしそうしたとして,定款変更は4カ月はかかるので,12月中に定款変更が認証されるかどうかわからないのですが
(1)12月中に変更できたら,2月には総会を開かずに,6月以降に開いて,1年半の事業報告を出すことで良いのでしょうか?
(2)12月中に変更が認証されなかったら,その年だけは2月頃に総会を開いて事業報告を出すこととし,6月以降の総会後には半年間の事業報告を認証庁に出すことになるのでしょうか?
Re: 総会時期の変更に伴い事業年度は変更すべき? 投稿者:弁護士 浅野晋 投稿日:2007/07/06(Fri) 19:01:52 No.7141
hirosi さん

1、これはけっこう難問です。
  「総会の開催」と事業年度、事業報告とを区別して考えてく ださい。

2、まず「総会の開催」ですが、これについては民法60条に 「……少なくとも毎年1回、社員の通常総会を開かなければならない。」と定められており、特定非営利活動促進法30条はこの民法60条を準用しています。ところが、民法60条は、「少なくとも毎年1回」と定めるだけで、その開催時期については何も定めていません。また、総会と事業年度の関係についても定めはなく、「事業年度の終了後一定の期間内に開催せよ」との趣旨の定めもありません。(なお、株式会社の場合は、「定時株主総会は、毎事業年度の終了後一定の時期に招集しなければならない。」と定められています。:会社法296条」)
  また。民法60条の条文の文言は「毎年」と書かれていますが、この「年」とい うのは1月1日から12月31日までと考えざるを得ません。
  従って、解釈上は、NPO法人が例えば2005年は1月1日に、2006年は 12月31日に、2007年は1月1日に総会を開催した場合でも、違法ではない ということになります。

3、次に事業年度ですが、これは定款に1月1日から12月31日と定められているようですから、定款変更の手続が終了して定款が変更されるまでは、その事業年度は求定款の定めによることになります。
従って、事業年度が「1月1日から12月31日」である場合に、例えば「事業年度は毎年6月1日から翌年5月31日までとする。」との定款変更が、年度途中である2007年10月1日になされた場合、この定款変更に伴い、この事業年度は「2007年1月1日から2008年5月31日まで」と変更されたことになります。

4、特定非営利活動促進法28条は、「……毎事業年度初めの3月以内に、……前事業年度の事業報告書……を作成し……」と定めていますので、上記の例では上記の事業年度の事業報告書は2008年8月31日までに作成すれば良いことになります。

5、ところで、この事業報告書ですが、定款の定めにもよりますが、作成するのは理事(または理事長)であって、総会が作成するわけではありません。おそらく総会は、事業報告書を承認するかどうかの権限を有するだけであると思われます。(定款によっては、理事長が作成した事業報告書を理事会なり評議員会が承認するという形態もあり得ます。)

6、特定非営利活動促進法29条1項は、「毎事業年度1回、事業報告書等……を所 轄庁に提出しなければならない。」と定めています。ご質問のNPO法人は、事業 報告書について総会の承認を要する趣旨の定款の定めがあるようであり、このため 総会の開催時期との問題が生じているようです。この場合どうするかについては、 2つの方法があると思われます。
①事業報告書自体が作成されていれば、総会の承認の有無は当該団体の内部手続の問題に過ぎないし、特定非営利活動促進法が事業報告書について総会の承認を要するとの趣旨の定めもないから、総会の承認がないまま所轄庁に提出する
②特定非営利活動促進法29条1項は「毎事業年度……提出しなければならな    い」と定めているが、提出期限についての定めはないから、直近の総会の承    認を待って提出する
7、私としては、上記①でよろしいかと考えます。それは、事業報告書というものは、その事業年度に当該団体がどのような事業活動をしたかという事実の報告書ですから、総会が事業報告の承認決議案を否決しようが可決しようが、当該年度に客観的にどのような事業が行われたかという事実自体は変わらないからです。

                 弁護士 浅野晋
Re: 総会時期の変更に伴い事業年度は変更すべき? 投稿者:hiroshi 投稿日:2007/07/07(Sat) 12:18:10 No.7143

2、まず「総会の開催」ですが、これについては民法60条に「……少なくとも毎年1回、社員の通常総会を開かなければならない。」と定められており、特定非営利活動促進法30条はこの民法60条を準用しています。ところが、民法60条は、「少なくとも毎年1回」と定めるだけで、その開催時期については何も定めていません。また、総会と事業年度の関係についても定めはなく、「事業年度の終了後一定の期間内に開催せよ」との趣旨の定めもありません。

6、特定非営利活動促進法29条1項は、「毎事業年度1回、事業報告書等……を所轄庁に提出しなければならない。」と定めています。ご質問のNPO法人は、事業報告書について総会の承認を要する趣旨の定款の定めがあるようであり、このため総会の開催時期との問題が生じているようです。この場合どうするかについては、2つの方法があると思われます。

①事業報告書自体が作成されていれば、総会の承認の有無は当該団体の内部手続の問題に過ぎないし、特定非営利活動促進法が事業報告書について総会の承認を要するとの趣旨の定めもないから、総会の承認がないまま所轄庁に提出する。

7、私としては、上記①でよろしいかと考えます。それは、事業報告書というものは、その事業年度に当該団体がどのような事業活動をしたかという事実の報告書ですから、総会が事業報告の承認決議案を否決しようが可決しようが、当該年度に客観的にどのような事業が行われたかという事実自体は変わらないからです。

浅野先生  ご回答ありがとうございます。

上記①は,事業年度の定款変更必要なし,ということで理解して良いのですね? それであれば①で(事業年度後3カ月以内に提出)当分運営する方向で考えてみたいと思います。

2のように,総会開催時期については,確かに法には明記がないし,事業年度後3カ月以内に提出が必要な事業報告書は,①のように「総会の議決を経たもの」との規定がどこにも明記されていないし,新年度総会の議事録の添付は不必要なのを,私も気付いてはいましたが,浅野先生ご回答で整理できました。
今年8月の総会でこの旨を周知し,来年3カ月以内の事業報告書はメール会議で正会員のコンセンサスを得て(監事の監査も得て)所轄庁に提出する方向で相談してみたいと思います。

ま,来年7~9月予定の総会では(新年度の総会としては遅くはなりますが),手続きとして前年度の事業報告・新年度の事業計画を議決することにしたいと思います(事業計画は年初にはメール会議で決めることとしたいですが)。

しかし考えてみれば,総会は,新年度計画に重きを置くなら,事業年度終了前に開催しても良いわけでしょうが,一般的には終了前に理事会で新年度計画を議決するのが望ましいのでしょうね。

浅野先生,以上のようなことで良いでしょうか?

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