もじゃもじゃさん、公認会計士の赤塚です。
子育て関連の任意団体の代表をしています。今年度、本を出版しました。印税収入は団体の収入として管理しています。出版社からは任意団体なので、支払った印税の所得税は代表者名で支払う義務があるとして、源泉徴収票が送られてきました。
■質問1
「任意団体も法人とみなして課税される」とインターネットで読みましたが、任意団体で管理する印税収入は代表者個人の所得として申告しなければならないのでしょうか?印税以外の事業収入はありません。
■質問2
もし、みなし法人として申告できるならば、どのような方法で申告できるのでしょうか?
■質問3
任意団体の代表をしている私は、個人事業主として収入を得てます。もし、印税が個人扱いになるならば、任意団体での収益事業分も確定申告すなければならないのでしょうか?
以上、3点よろしくおねがいします。
第一に、この出版社の判断は間違っています。任意団体であっても団体が受け取るのであれば源泉徴収の必要はありません。しかし、すでに源泉徴収されているということなので、その前提でお答えします。
「印税収入は団体の収入として管理しています」ということでしたら、源泉徴収票(支払調書)の宛名が個人でも、個人の所得として申告する必要はありません。
次に、任意団体として申告するかどうかという点です。おっしゃるように任意団体はみなし法人ですから、所得税の問題ではなく、法人税が課税されるかどうかということになります。「印税以外の事業収入はありません」ということですので、他に課税事業は行っていないという前提でお答えします。
法人税法では、NPO法人も任意団体も限定列挙された33業種のいずれかを継続して営む場合には課税事業として法人税の申告納税が必要とされています。該当しなければ申告は不要ということです(ただし、源泉税額も返ってきません)。
印税収入は無体財産権提供業として33業種に該当します。後は継続的に営んでいるかどうかということですが、一度きりの出版であればこの判定は微妙です。もし身近にNPOの税務相談会等があれば、専門家にご相談されることをお勧めします。相談会等の開催情報は、
http://www.npoatpro.org/potal/で検索してください。
課税事業に該当する場合は、印税収入を売上として対応する経費も計上して損益計算書を作成し法人税の申告をすることになります。源泉税額は支払い済みの法人税として税額を相殺もしくは還付請求できます。ただし、法人住民税の申告も必要となりますので、仮に赤字であっても均等割(7万円もしくは8万円)の納税をすることになります。
法人税の申告をせずに源泉税額を精算しようというのであれば、個人で確定申告するしかありません。任意団体の収支のうち印税収入に関する収支のみを個人の確定申告に合算します。団体のすべての収支を合算する必要はありません。ただし、この場合は、このことに関する団体内の合意と、団体と個人の間の実際の精算が必要になります。