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法人でマンションを購入して理事に賃貸 投稿者:まーぼん 投稿日:2008/01/31(Thu) 11:29:04 No.7502
障害者の生活支援を行っているNPO法人です。

障害者が一般の賃貸マンション等を借りるに際しては、広さやバリアフリー化の状況、エレベータの有無等と家賃との兼ね合いもあり、かなり厳しい条件があります。
そこで、法人として中古マンションを購入し、低廉な家賃(ローン相当分程度)で貸し出すことを検討しています。
さしあたって、当法人の障害者の理事(無報酬)が、現住所からの転居を希望しているので、その理事に貸し出すことを前提に物件を探そうと考えています。

そこで質問です。
このような場合、

1.マンションを貸し出すという行為は、収益事業とみなされるのでしょうか?

2.法人の理事に貸し出すということで、何か法的な問題はないでしょうか?
Re: 法人でマンションを購入して理事に賃貸 投稿者:弁護士 浅野晋 投稿日:2008/02/01(Fri) 19:45:54 No.7504
まーぼん さん

 ご質問の2についてお答えします。(1については、税理士さんのお答えに委ねます。)

 NPO法人の財産を、当該法人の理事A氏に貸し出すことは可能です。
 但し、その場合、A氏が代表権がある理事の場合、A氏は当該NPO法人の代表者として賃貸借契約をすることはできません。
 これは、NPO法30条が準用している民法57条が、「法人と理事の利益が相反する事項については、理事は代理権を有しない。この場合においては、所轄庁は、利害関係人の請求により、または職権で、特別代理人を選任しなければならない。」と定めているからです。(民法の文言と若干違いますが、これは、NPO法30条に読替え規定があるからです。)

 但し、外にも代表権のある理事B氏がいる場合は、特別代理人を選任してもらわなくても、B氏がNPO法人を代表して、A氏との間で契約をすることが出来ます。

 なお、法律上の要件ではありませんが、このような場合は、理事会で、理事A氏に賃貸するかどうか、賃貸するとして賃料等どのような条件で賃貸するかについて審議して、議決をしておいたほうが良いと思います。

                  弁護士 浅野晋
Re: 法人でマンションを購入して理事に賃貸 投稿者:まーぼん 投稿日:2008/02/07(Thu) 10:06:44 No.7511
浅野晋 様

ご回答ありがとうございました。
たいへんよくわかりました。

ただ、実際には法人で購入できる物件というのは、事業用のマンションで、数がかなり限られます。
それに対し、法人契約で賃貸できるマンションはけっこう数があります。
法人で契約した賃貸マンションに、理事が法人に家賃を支払って入居する場合は、どうなのでしょう?
Re: 法人でマンションを購入して理事に賃貸 投稿者:弁護士 浅野晋 投稿日:2008/02/10(Sun) 12:58:54 No.7520
まーぼん さん


「法人で契約した賃貸マンションに、理事が法人に家賃を支払って入居する場合」についても、全く同じです。

なお、法人が借りたマンションを理事が借りるというのは、「転貸」ということになりますので、賃貸人の承諾が必要になります。

承諾なく転貸すると、契約を解除される可能性がありますので注意してください。

                     弁護士 浅野晋
Re: 法人でマンションを購入して理事に賃貸 投稿者:公認会計士 岩永清滋 投稿日:2008/02/12(Tue) 11:58:53 No.7524
不動産の貸付業は収益事業に該当すると思われます。
ただその際収益の方は受取家賃ですが、経費の方は、
1.購入物件の場合・・・支払利息、減価償却費、固定資産税など
2.賃借物件の場合・・・支払家賃
となりますので、ご注意下さい。
Re: 法人でマンションを購入して理事に賃貸 投稿者:まーぼん 投稿日:2008/02/12(Tue) 13:57:59 No.7525
浅野さん、岩永さん、ご回答ありがとうございます。

 私が想定していますのは、賃貸人が法人契約を希望している物件(けっこうこういう物件があります)を法人として契約し、そこに理事(正確には職員として働いている理事)を入居させるというものです。
いわば、「社宅」のようなものです。
 ですから、「許可なく転貸」というのは最初から考えていません。

 こういうばあいでも、「収益事業」になるのでしょうか?
Re: 法人でマンションを購入して理事に賃貸 投稿者:公認会計士 岩永清滋 投稿日:2008/02/13(Wed) 09:23:47 No.7526
福利厚生が目的の社宅ということであれば、収益事業に該当しません。
ただご質問の趣旨の流れがそのように理解できなかったので、前回のようにお答えしました。
社宅という場合は、法人の事業の目的を達成するために必要不可欠ということから出発しますので、法人負担が生じる(つまり本人か徴収する額の方が、かなり低い)のが普通です。
購入物件の場合、その方が仮に退去された後、どうされるのかなども、あらかじめ検討しておいた方がいいと思います。
Re: 法人でマンションを購入して理事に賃貸 投稿者:まーぼん 投稿日:2008/02/13(Wed) 13:27:44 No.7527
岩永さん。
ご回答ありがとうございました。

私の質問の趣旨が途中で変わってしまったため、混乱させてしまい、申し訳ありません。
ご回答を受けて、さらに質問です。

1.この場合、法人が家主に支払う家賃・共益費等は、「福利厚生費」となるのでしょうか?

2.また、入居者本人から徴収する家賃等は、どのような勘定科目で計上すべきでしょうか?

3.「本人から徴収する額の方が、かなり低いのが普通」とありますが、法人負担と本人負担を同額か、あまり差額がない設定にした場合は、何か法的な問題が生じるのでしょうか?
Re: 法人でマンションを購入して理事に賃貸 投稿者:公認会計士 岩永清滋 投稿日:2008/02/14(Thu) 10:00:41 No.7529
岩永です。

1.この場合、法人が家主に支払う家賃・共益費等は、「福利厚生費」となるのでしょうか?

 科目としては「福利厚生費」でも「支払家賃」でもいずれでもかまいません。

2.また、入居者本人から徴収する家賃等は、どのような勘定科目で計上すべきでしょうか?

 これも「雑収入」でも、「福利厚生費」や「支払家賃」のマイナスでもかまいません。法人として統一しておれば問題ありません。

3.「本人から徴収する額の方が、かなり低いのが普通」とありますが、法人負担と本人負担を同額か、あまり差額がない設定にした場合は、何か法的な問題が生じるのでしょうか?

 いろんな角度から検討する必要があります。

A.NPO法上や社員総会での問題
 法人が経費を負担する行為が、障害者の自立を促すための法人の本来の目的の範囲の活動なのか、特定の個人を優遇する行為なのかの線引きが微妙ですので、統一したルールが必要でしょう。また管理費として処理する場合、全体として事業費より管理費のウエイトが大きくなることは好ましくないとされています。

B.委託事業のような場合
 その理事さんが働いている事業が委託事業などである場合、委託費の中からそのような支出をすることが認められるか否か検討を要します。委託費の中から支出しないのであれば問題ありません。

C.源泉所得税の問題
 理事から徴収する金額が、次の金額(合計)より少ない場合は、その差額分が現物給与として、源泉所得税がかかります。
(1) (その年度の建物の固定資産税の課税標準額)×0.2%
(2) 12円×(その建物の総床面積(平方メートル)/3.3平方メートル)
(3) (その年度の敷地の固定資産税の課税標準額)×0.22%

D.法人税の問題
 その理事さんが働いている事業が、法人税の収益事業に該当し、しかも家賃を損金に計上している場合は、その必要経費性を税務署に対して立証する必要があります。収益事業に該当しない場合は問題ありません。


 
Re: 法人でマンションを購入して理事に賃貸 投稿者:まーぼん 投稿日:2008/02/14(Thu) 18:53:18 No.7530
岩永さん。
ご回答ありがとうございます。

いろいろ検討しないといけないですね。

A、C、Dについて、それぞれ質問があります。

A…「特定の個人を優遇する行為」とありますが、これは法人が家主に支払う家賃よりも入居者負担がかなり低い場合(例:家賃7万円の物件を入居者負担3万円で使用させる)であって、同額もしくはほとんど差がない場合(例:家賃7万円の物件を入居者負担7万円もしくは6万円程度で使用させる)は該当しない、という解釈でいいのでしょうか?なお、当法人は管理費に比べて事業費の割合が圧倒的に大きいので、管理費として計上しても、問題ないようにも思えます。

C…これも、法人支払分よりも入居者負担がかなり低い場合であって、同額もしくはほとんど差がない場合は該当しない、という解釈でよろしいのでしょうか?

D…当該理事(最初の質問に書いた障害者の理事)は、収益事業には従事していませんが、仮に収益事業に従事していても、法人支払家賃(福利厚生費)を管理費に計上していれば問題ないということでしょうか?

 
Re: 法人でマンションを購入して理事に賃貸 投稿者:公認会計士 岩永清滋 投稿日:2008/02/16(Sat) 11:09:34 No.7533
岩永です。

A…「特定の個人を優遇する行為」とありますが、これは法人が家主に支払う家賃よりも入居者負担がかなり低い場合(例:家賃7万円の物件を入居者負担3万円で使用させる)であって、同額もしくはほとんど差がない場合(例:家賃7万円の物件を入居者負担7万円もしくは6万円程度で使用させる)は該当しない、という解釈でいいのでしょうか?


 同額であれば問題ありません。要はNPO法人は「不特定かつ多数のものの利益の増進に寄与する」ことが大原則になっていますから、それに違反しなければいいのです。

C…これも、法人支払分よりも入居者負担がかなり低い場合であって、同額もしくはほとんど差がない場合は該当しない、という解釈でよろしいのでしょうか?


 その通りです。

D…当該理事(最初の質問に書いた障害者の理事)は、収益事業には従事していませんが、仮に収益事業に従事していても、法人支払家賃(福利厚生費)を管理費に計上していれば問題ないということでしょうか?


管理費に計上しているいうより、法人税の申告上損金としていなければ問題ありません。

Re: 法人でマンションを購入して理事に賃貸 投稿者:まーぼん 投稿日:2008/02/18(Mon) 00:39:40 No.7536
岩永さん。

明快なご回答、ありがとうございます。

その上で、さらに質問です(しつこくてすみません)。

1.「同額」の場合、法人が家主に支払う家賃の勘定科目は「福利厚生費」には当たらないと思うのですが、どのような科目を充てるのが適切でしょうか?

2.同様に、入居者が法人に支払う家賃(いわば法人の立替分)の勘定科目としては、どのような科目が適切でしょうか?

3.「同額」の場合と「ほとんど差がない」の場合では、扱いに違いがありますか? どこまでが「ほとんど差がない」のか、あいまいではありますが。
Re: 法人でマンションを購入して理事に賃貸 投稿者:公認会計士 岩永清滋 投稿日:2008/02/18(Mon) 18:11:44 No.7537
岩永です。

1.「同額」の場合、法人が家主に支払う家賃の勘定科目は「福利厚生費」には当たらないと思うのですが、どのような科目を充てるのが適切でしょうか?


以前にもお答えしましたように、支払う方の科目は「福利厚生費」でも「支払家賃」でもかまわないことと、受け取る方も「雑収入」でも」福利厚生費」などのマイナスでもかまいません。同じ科目でマイナス処理すれば、同額の場合は決算書には表示されないことになります。

2.同様に、入居者が法人に支払う家賃(いわば法人の立替分)の勘定科目としては、どのような科目が適切でしょうか?


上と同じです。

3.「同額」の場合と「ほとんど差がない」の場合では、扱いに違いがありますか? どこまでが「ほとんど差がない」のか、あいまいではありますが。


ほとんど同じです。結局差額分が「福利厚生費」になり、それだけしか法人が負担していないのですから当然です。その金額が僅少ならば問題になることはないでしょう。
Re: 法人でマンションを購入して理事に賃貸 投稿者:まーぼん 投稿日:2008/02/18(Mon) 18:23:19 No.7538
岩永さん。

ご回答ありがとうございました。

これですっきりしました!
理事会で慎重に検討したいと思います。

しつこくあれこれ質問して(おまけに質問の方向が途中で変わって)申し訳ありませんでした。

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