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同じ区内で事務所を移転するため、理事会ではかり承認を得たのですが、事務所の解約手続きを進めている段階になって、定款に事務所住所が番地まで記載されていることに気づき、「定款の変更にあたる」ということが分かりました。総会を開催する時間がないのですが事務所の解約は既に決定済みです。この場合どのように対応したらよいのでしょうか。総会の議事録がないと、事務所移転の登記ができないと法務局のホームページにも書いてあったので、困っています。

団体職員Ｏ　さん

　事務所の変更日と定款変更日のズレは、多くの場合、どうしても生じてしまいます。

　この場合、「違法」かどうかといえば「違法」といわざるを得ませんが、「やむを得ない違法状態」ですから、なるべく早く定款変更手続をして違法状態を解消するようにするしかありません。

　このように、定款で事務所の所在地を住居表示や番地まで書いてしますと、同じ市や区内での事務所移転も定款変更手続が必要になってしまいます。

　定款上の事務所の所在地は、市町村、区までの記載で留めておく方が良いと思います。
　この際ついでに、事務所の所在地に関する定款の記載のしかたを変更してしまったらいかがでしょう。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　弁護士　浅野晋

団体職員Ｏ　さん

こんにちわ、はじめまして。
行政書士の荒井と申します。

まず、必要になってくるのは

□所轄庁への定款変更届出
□法務局への変更登記申請

です。

さて、問題となっている総会の開催ですが、正会員の中にうるさ型の人がいなければ、同意（委任状）をとる形で、総会を開催したことにして議事録を作成する方法が考えられます。

若干のタイムラグは仕方がありませんので、早急に手続きをされることをお勧めします。

浅野先生、横槍すみません。行政書士の荒井です。

　定款上の事務所の所在地は、市町村、区までの記載で留めておく方が良いと思います。

東京都さんの場合、大抵の職員さんは必ず「住居表記どおり最後まで記入してください」と必ず指導を入れてきます。（笑）

個人的には仲の良い職員さんもいるので、ＮＰＯ法人の住所を捕捉したがっている彼らの立場も考えてあげたいところです。

おそらく「運営方針」に縛られているからこそ、そういった指導を入れてくるのでしょうから、運営方針を改訂させるような良い智恵がほしいなと最近は感じています。

　定款には法人事務所所在地の最小行政区域まで記せばよく、そうしておけば最小行政区域内での異動に定款の変更はいらないことは確かにメリットです。しかしそのことに対する疑問を私は持っています。

１）定款変更を伴わない事務所移転の場合は、理事会決議で登記ができる。しかし、かと言って理事会の決議だけで事務所（特に主たる事務所）が異動できてしまう（異動されてしまう）ことは問題ではないのだろうか？
　法上の社員に知られることなく事務所の移転も可能となるが、そんなことで良いのか？

２）事務所が異動されてもその届出が所轄庁に出されないことがあり得るが、そうなると、所轄庁に法人の正確な情報が集約されなくなるのではないか。

３）閲覧、縦覧される書面から法人の事務所所在地を知るには、定款を見るしかない（登記事項証明書の写しがない場合）。このため、定款に記載の所在地が最小行政区域までだと、法人事務所所在地の詳細が分からないのではないか。

　１）については、法人の規模や活動状況によっては総会開催を待っていられない状況もあるでしょうから、理事会決議でもやむを得ないケースがあるかもしれません。
　３）については、本気になって法人の所在地を知りたければ、最小行政区域までを定款で把握して、後は登記所で登記簿を取り寄せれば詳細な所在地が分かる（お金は余計にかかるが）。

　２）については、アイデアがありません。そもそも、法人事務所の所在地の変更を「定款の変更」という手続きで届け出させること自体がナンセンスなように思います。役員変更等届出書のように、事務所所在地変更届出書を出すような法制度になれば良いと思いますし、そうすれば所轄庁も、定款への所在地の記載に大らかになるのではないかと思います。