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書面表決について 投稿者:NPO2年生 投稿日:2008/10/31(Fri) 14:25:34 No.8128
いつも大変お世話になっております。

教えてください。

定期総会を開催しようと案内をしたところ、結局、全員が当日出席できず、書面表決となってしまった・・・

そんな総会が有効と言えるのでしょうか。

定款では、総会の定足数は正会員総数の2分の1以上、やむをえない理由のために出席できない正会員には書面あるいは委任による表決が可能であり、その表決をした正会員は総会に出席したものとみなすこととなっています。
つまり、定款上は問題がないように思われます。

もし、有効であるなら、その議事録の書き方についても教えてください。
一般的に記載している開催日時や場所などを記載する必要はなくなるのでしょうか。
それとも、そこで総会を開催したことにするのでしょうか。

基本的なところがわかっていなくてお恥ずかしい限りです。
ご教示いただければ幸いです。
Re: 書面表決について 投稿者:弁護士 浅野晋 投稿日:2008/11/03(Mon) 11:17:14 No.8131
NPO2年生 さん

 「書面表決者は総会の出席者とみなす」旨の定款の規定があるとき、書面表決した者の数が定足数を満たせば、現実にその総会に出席した者がゼロであっても総会が有効に成立したと言えるのかが問題です。


 これについて、判例や学説を調べましたが、見あたりません。
 おそらく意見が分かれると思いますが、私はこのような場合でも、これを無効と解すべき理由に乏しいので、定款の定めに従って総会は有効に成立すると考えます。

 但し、総会は現実に開催しなければなりません。すなわち、総会開催通知に記載した日時、場所において、定款の定め等によって選任されたる議長が総会の開催を宣言し、「現実に出席した社員(正会員)はいないけれども、書面表決者数が○名おり、これは定款○条の定めにより出席者とみなされるので、総会は有効に成立した。」旨宣言し、書面評決の賛否の数に基づき、議案が議決されたか、否決されたかを宣言する必要があります。


 ただ、役員でも議長になる人でも、誰か1人社員がいればこんな問題は生じません。役員でも議長になる人でも、その人が社員であれば、その人が総会に出席すれば、当然に現実の出席者に数えることができるからです。

なお、議事録は、次のような記載をしたらいかがでしょうか。

「定刻、議長○○○○は、総会の開会を宣言し、『総社員数○人のうち、○人が本総会の議案について書面表決の書面を提出した。この書面表決者は、定款○条の定めにより総会の出席者とみなされるので、本総会は有効に成立している。また、議案に対する書面評決の結果は、賛成○人、反対○人であったので、本義案は可決(否決)された。』旨述べた。これにて議事は終了したので、議長は総会の閉会を宣言した。」

                   弁護士 浅野晋
Re: 書面表決について 投稿者:NPO2年生 投稿日:2008/11/04(Tue) 10:02:53 No.8136
 浅野先生、大変分かりやすい回答をいただき、ありがとうございました。
 私も調べてみたところどうしても答えが見つからず、解釈に困ってしまい、なんでも質問箱をお頼りしたところでした。
 本当にありがとうございました。
 勉強になりました。
 今後ともご指導よろしくお願いします。
Re: 書面表決について 投稿者:ととと 投稿日:2008/11/09(Sun) 22:44:33 No.8149
 実際に起こりうる、興味深いご質問ですね。

 浅野先生から法制度に基づくご説明があり、それについて蒸し返すつもりは無いのですが・・・例えば自分がその法人の当事者であり、書面表決だけで自分の納得のいかない決議がされたとして、その決議の無効を訴える理由を考えてみました。自分は法律の専門家ではありませんが・・・

1)書面決議という意思決定方法が別に存在すること
 特定非営利活動促進法では規定されていませんが、他の法律(会社法、区分所有法など)では意思決定方法として、書面決議という方法が規定されていることがあります。法律によって手続が異なるようですのでここでは細かいことは書けませんが、要は、総会などの会議とは別に書面のみで決議を可能とする意思決定方法が存在します。
 逆に言えば、総会では書面だけで決議を行うことは想定されていないのではないかと考えます。
 なお、書面決議は、総会での議決要件よりも厳しく定められています。

2)作成した議事録の有効性に疑問
 定款では恐らく、総会の議事録の記載についても規定されていて、その中では、議事録署名についても示されていると思います。当然、出席者が一人もいなければ議事録署名ができず、議事録としての要件が満たされないのではないかと思います。
 大概、所轄庁の定款例では議長のほか2名の出席者の議事録署名が必要とされいてると思います。この場合だと、最低3人の出席者が必要となるのではないかと思います。

 とは言うものの、この辺りは法人自治として適切に皆さんが納得の行くように落とし込めれば良いと思います。ただし、認証申請書類としての議事録や、登記に求められる議事録として、認められるかどうかは疑問ですが・・・

 ただ、社員が理事長(本人)しかおらず、その法人の解散を総会で決議したとして、社員総数1名、出席社員1名の議事録で解散登記ができることもあるようです。

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