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2/3賛同の議決権の申し合わせは有効かどうか? 投稿者:nogami 投稿日:2009/02/08(Sun) 19:07:19 No.8293
本会の理事会・総会の議決権は、定款で過半数の賛同と規定していて、論議を尽くして凡そ全会一致となるよう努力はしているものの、賛否が拮抗する場合も想定されるので、その場合には理事会・総会の運営が円滑に行かないおそれがあることから、2/3の賛同に変更した方が良いかと相談しています。

当然定款変更すれば良いわけでしょうが、認証庁の手続きに4カ月かかって、その後に定款が有効になるので、それまでの理事会・総会に間に合いません。

そのため、近々の理事会・総会で、凡そ全員の賛同で「定款変更までの間も2/3の議決権の申し合わせ」(内規)をしたいと思っています。またそれで支障が生じないかも見極めたいと思っています。これは有効なのでしょうか?(具体的には過半数の賛同はあったが2/3の賛同が無かったので否決となった議決が有効かどうか?ですが)
Re: 2/3賛同の議決権の申し合わせは有効かどうか? 投稿者:弁護士 浅野晋 投稿日:2009/02/10(Tue) 13:08:39 No.8299
nogami さん

 定款変更について、特定非営利活動促進法第25条は次のように定めています。

(定款の変更)
第二十五条  定款の変更は、定款で定めるところにより、社員総会の議決を経なければならない。
2  前項の議決は、社員総数の二分の一以上が出席し、その出席者の四分の三以上の多数をもってしなければならない。ただし、定款に特別の定めがあるときは、この限りでない。
3  定款の変更(第十一条第一項第四号に掲げる事項に係るもの(所轄庁の変更を伴わないものに限る。)並びに同項第八号及び第十四号に掲げる事項に係るもの(第六項において「軽微な事項に係る定款の変更」という。)を除く。)は、所轄庁の認証を受けなければ、その効力を生じない。

 御質問に関係するのは第3項です。条文の中に二重括弧があってわかりにくいのですが、二重括弧の中は例外の定めですので、これを取って見ると、

「3  定款の変更は、所轄庁の認証を受けなければ、その効力を生じない。」

となります。すなわち所轄庁の認証がなければ、定款変更は効力を生じません。
 なお、議決数の定めは、上記条文の括弧内の例外に該当しません。

 従って、御質問の内規は定款及び上記条文に反し無効です。

                     弁護士 浅野晋



Re: 2/3賛同の議決権の申し合わせは有効かどうか? 投稿者:nogami 投稿日:2009/02/20(Fri) 20:06:30 No.8324
>従って、御質問の内規は定款及び上記条文に反し無効です。

そうであれば、また運用で2/3議決権の申し合わせも不可であるなら、定款を2/3に替える議決をして、認証手続きをし、それが確定した後、該当議案を2/3で否決することとすれば良いのでしょうね?
Re: 2/3賛同の議決権の申し合わせは有効かどうか? 投稿者:弁護士 浅野晋 投稿日:2009/02/22(Sun) 11:31:16 No.8329
nogami さん

 そのとおりです。

                 弁護士 浅野晋
Re: 2/3賛同の議決権が良いのか、過半数で良いのか? 投稿者:nogami 投稿日:2009/03/17(Tue) 08:32:04 No.8379
2/3賛成の議決権について、かえってそれでは決まらないで、機能不全に陥るケースもあり得るので慎重に考えた方が良いのでは、という意見もあるのですが、どうなのでしょうか?

NPOだけでなく一般的にも組織の議決権は過半数が多いようですが、凡そ全会一致に近い形で会の運営を進めるために2/3にする趣旨が、かえって機能不全に陥るケースがあり得るのなら、何をやったんだ!ということになり兼ねないし…

1/2議決の定款のままで運用での2/3議決が定款違反で不可であれば、どうしたものか… 2/3議決に定款を変えて、運用で1/2にする場合があるという方法もあるかも知れませんが、どうなのでしょう? これはこれで定款違反になるのでしょうか?
Re: 2/3賛同の議決権が良いのか、過半数で良いのか? 投稿者:荒井正志 投稿日:2009/03/17(Tue) 18:16:58 No.8380
nogami さん

横槍失礼します、行政書士の荒井と申します。

さて、nogamiさんの投稿を読ませていただいて感じたのは、問題の所在は定款の記載云々というよりは、組織の設計がどうあるべきか、という問題意識が読み取れます。

総会を構成する社員(会員)は、少なくとも団体の目的に賛同して入会しているだろうと推測されるので、よっぽどのことがなければ機能不全に陥ることはないと思います。(そうならないためにも、普段からのコミュニケーションが大事になってくるのですが・・・)

つまり、定款云々というよりも、「どういった組織運営が望ましいのか」という理念が先にあって、それに基づいてどんな定款が望ましいのかを考えるのが良いのではないかと思うのです。

今回を奇貨として、組織や会員のあり方を法人の戦略として考えておくのがよいのかなぁと感じます。
Re: 2/3賛同の議決権が良いのか、過半数で良いのか? 投稿者:弁護士 浅野晋 投稿日:2009/03/18(Wed) 19:15:03 No.8384
nogami さん

「2/3議決に定款を変えて、運用で1/2にする場合があるという方法もあるかも知れませんが、どうなのでしょう? これはこれで定款違反になるのでしょうか?」

  →定款違反になります。

 なお、議決要件をどのようにするかは、団体の考え方や実情によりますが、一般に要件を厳しくすると、動きが取れない場合が生ずる可能性が高くなりますので、むやみに厳しくするのは考えものです。

                  弁護士 浅野晋
Re: 2/3賛同の議決権が良いのか、過半数で良いのか? 投稿者:nogami 投稿日:2009/03/23(Mon) 12:03:36 No.8393
荒井さま、浅野さま

コメントありがとうございました。

ミッションを同じくしても、組織が大きくなってくれば様々の意見の齟齬が生じてくるのは致し方のないことなのでしょうが、
賛否が拮抗した案件の場合、賛否を取って即議決としてしてしまうと組織運営が身動きできなくなる場合があるかも知れないので、そうなってしまう前に安全弁を設けて(申し合わせとして)、過半数の議決権のままで、「ただし理事長は議決を見送りとし、理事会に再考あるいは継続審議を求めることができる。」との申し合わせをすることとし、これが申し合わせとして合意が得られるのなら内部自治に属することだと考えます。しかし支障が生じたり必要があれば定款を改定することにやぶさかではありません…

要は、理事長が動きやすいように支えるための運用をしたいと思っています… 理事長が再考を求めたいのに、議決を押し通すことになれば、あるいは反対の立場からはその正反対の状況であっても、組織はもはや立ち行かなくなり兼ねないので、結局は継続審議(棚上げ)とならざるを得ないような…

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