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公益法人制度改革関連3法(「関連3法」と略します)とNPOの関係について 投稿者:荒井康全 投稿日:2009/02/28(Sat) 15:44:55 No.8340
私たちは目下 NPO法人の取得の準備をしているところです。
今回の 公益法人制度改革関連3法(「関連3法」と略します)とNPOの関係について知りたいので
お教えください。
1. それぞれの背景の違い
2. 相互の関連 特に 関連3法では法人と公益が分離されますが この法人登記で NPO法人と「一般社団法人」ならびに「
公益社団法人」との違い。
  定義、相互互換性、手続きの連続もしくは連携性、効用の違い、今後の制度整備、など。
 たとえば NPO法人を取得してから 一般社団法人を取るのが
 よいのか または逆がよいのか。一方を取れば他が自動的に
 取れるのか。
3. この改革の法等の狙いはなにか。社団法人化への民間への
門戸を開くものという意思があるのか。
  現社団法人(社団財団を含む)の 改革が動機になっているようですが、それだけのものであるのか。

勝手ながら なるべく早急にご返事をいただきたくお願いもうしあげます。以下にご連絡いただきたくお願いもうしあげます。
araraiypol1a@nifty.com
人間環境活性化研究会 荒井康全
Re: 公益法人制度改革関連3法(「関連3法」と略します)とNPOの関係について 投稿者:弁護士 浅野晋 投稿日:2009/03/02(Mon) 18:42:11 No.8345
荒井康全  さん

1、御質問を拝見すると、「法人」制度についての基本的な理解が十分ではなく混乱していらっしゃるように感じます。

2、まず、NPO法人も一般社団法人も、いずれも権利義務の主体としての「法人格」を持つ団体ですから、同じ団体がこの二つの法人格を同時に持つことはできません。

3、また、法令に定めがないため、NPO法人から一般社団法人への移行(組織変更)も、その逆の一般社団法人からNPO法人への移行(組織変更)もできません。従って、「NPO法人を取得してから 一般社団法人を取るのがよいのかまたは逆がよいのか。一方を取れば他が自動的に取れるのか。」という問題自体が生じません。

4、NPO法人であっても一般社団法人であっても、「法人格」というのは、団体が社会的活動をするための「道具」です。従って、どちらの法人格が良いのかというのは、その団体にとってどちらの法人格が「道具」として使いやすいかという問題に帰着します。

5、NPO法ができる前は、世のため人のために公益的活動をする団体が法人格を取るには、民法の公益法人の定めに従い、「主務官庁の許可」が必要でした。これを「許可主義」といいます。
  これに対し、お金儲けをするために「会社」という法人格を取得するには、法律が定める事項を記載した定款を作成して公証人の認証を得て登記するといった簡単な手続で法人格の取得ができました。これを「準則主義」といいます。 

6、しかし、考えてみれば、金儲けするためには簡単に法人格という道具を取得することができるのに、公益的活動をするために法人格という道具を取得しようとすると、とたんに「主務官庁の許可」という重大な制限があるというのは、どう考えてもおかしいことです。
そこで、このことがおかしいと気付いた人々が立法運動を起こし、その結果でき たのがNPO法です。

7、その後、民法の公益法人の定めが極めて不十分であるということが認識され、非 営利的活動をする団体についての法人格付与に関する一般法として制定されたのが 一般社団財団法です。

8、NPO法人と一般社団の違いは、それぞれの法律を読めばお分かりになります が、分かりやすく一言で何かに喩えて言うと、NPO法人は軽自動車で、一般社団は重装備の大型トラックのようなものです。NPO法は全部で50条しかなく、当該団体の私的自治に委ねる部分が多いのですが、一般社団財団法は全部で344条もあり、細かなことまで法律で定めています。
そのどちらが良いのかは、当該団体の実情によって異なりますので、それを抜き にどちらがよいかを言うことはできません。軽い方がよい場合もありますし、重た い方が良いという場合もあります。

9、なお、公益社団法人・公益財団法人というのは、行政庁から公益認定を受けた一 般社団法人・一般財団法人のことです。この「公益認定」を受けると、税金の優遇 措置がありますが、法人格として別の法人になるというわけではありません。

10、なお、NPO法も一般社団財団法も六法全書に掲載されていますので、比較してお読みになることをお勧めるします。
 
                     弁護士 浅野晋

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