対税務署の会計区分 収益および非収益につきまして 投稿者:
HCCグループ杏野 投稿日:2000/04/24(Mon) 14:37:00
No.84
はじめまして、杏野と申します。
3月を迎え、初めての決算期をむかえるに当たりまして、
税務署に提出する書類(財産目録、貸借対照表、収支決算書の三種類と聞いておりますが)
作成を行っておりますが、現在HCCグループは本来事業のみの会計となっております。
そこで、法人税法上では収益、および非収益を区分して提出することとなっているようですが、
費用に関しまして、収益および非収益の費用が重なっています。
そこで、収入金額比で費用を分配しておりますが、これでよろしいのでしょうか?
それから、貸借及び財産目録上の財産(現金、預金、設備、車両、借入金など)
はどのように分配すればよいのでしょうか?
もしくは分配しないのでしょうか?
宜しくお願いいたします。
Re: 対税務署の会計区分 収益および非収益につきまして 投稿者:
シーズ(轟木 洋子) 投稿日:2000/04/28(Fri) 19:41:00
No.85
杏野さん、ご投稿ありがとうございます。
この時期は、やはり税務と決算のご質問が多いですね。ご苦労お察しします。
さて、事業年度が終わって書類を提出するところは3箇所あり、所轄庁、税務署、そして法務局
です。杏野さんのご質問を読むと、所轄庁と税務署に提出する書類を混同しておられるようです
ので、それぞれに提出する書類を書き出してみます。
1.まず、税務署です。
法人が「税法上」の収益事業を開始した時には「収益事業開始届出書」を、税法上の収益事業を
開始した時から2か月以内に提出します。もし、この開始届出書を2か月以内に提出し忘れてい
た場合は、特に罰則はないようですが、なるべく早く提出してください。
(※ご存知と思いますが、税法上の収益事業と、NPO法上の収益事業は違います。税法上の収益
事業は33種類に限定列挙されているものです。このことから、所轄庁への報告には、NPO法上
の収益・非収益の区分経理、税務署への申告には税法上の区分経理が必要で、これらにそって書
類をそれぞれ整える必要があります。これについてご質問があれば、あらためてご投稿くださる
か、シーズブックレット「NPO法人ハンドブック」や「NPO法人の税務」をご購入ください)
その後、税法上の収益事業を行っている場合、税務署へ提出する資料は、以下のとおりです。
・青色申告の承認申請書(収益事業開始から3ヶ月経過後か、最初の事業年度の末日の早い日の前日迄)
・棚卸資産の評価方法の届出書(事業年度終了から2ヶ月以内)
・減価償却資産の償却方法の届出書(事業年度終了から2ヶ月以内)
・法人税の確定申告書(所得がない場合でも、事業年度終了から2ヶ月以内)
2.次に法務局への提出書類です。
年度終了後には、すでに提出している登記事項に変更があった場合に、事業年度終了後2か月以
内に変更登記の手続きをすることになります。
(「資産の総額」は、ほとんどの場合は変更が生じると思います)
変更登記に必要な書類は、それぞれ以下のとおりです。
①資産の総額の変更
すでに前にご質問を受けて答えております。質問箱の「80」の質問に対する「81」の答え
をご参照ください。
②任期満了に伴う役員の変更
・変更登記申請書(各登記所にあります)
・定款
・役員選任機関の議事録(総会または理事会)
・議長・議事録署名人の印鑑証明書
・辞任届(辞任がある場合)
・承認承諾書(新任がある場合)
(※任期満了に伴い役員の変更がない場合は、提出する必要はありません)
3.そして、所轄庁への提出書類です。
杏野さんが書いておられる「財産目録」「貸借対照表」などは、これらに含まれます。一覧を下
記に書き出しますので、ご参照ください。提出期限は、事業年度終了後3か月以内となっていま
す。なお、書類は所轄庁が都道府県の場合は、ほとんどの場合、コピーを各2部提出します(都
道府県によって3部というところもあるようなので、確認してください)。経企庁の場合は、こ
の2部に加えて事務所のある都道府県の数だけ提出することになります。
①平成11年度前年度事業報告書
②平成11年度財産目録
③平成11年度貸借対照表
④平成11年度収支計算書
⑤平成11年度の全役員名簿(氏名・住所居所を記載)
⑥平成11年度全役員のうち報酬を受けた者全員の氏名
⑦平成11年度社員のうち10人以上の者の氏名(住所居所を記載)
⑧変更登記をした場合は、新しい登記簿謄本
また、お尋ねの税法上の収益事業に関する費用や損失の区分経理についてですが、国税庁の法人
税基本通達15-2-5に次のように書かれています。
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15-2-5 公益法人等又は人格のない社団等が収益事業と収益事業以外の事業を営んでいる場合
における費用又は損失の額の区分経理については、次による。
(1) 収益事業について直接要した費用の額又は収益事業について直接生じた損失の額は、収益
事業に係わる費用又は損失の額として経理する。
(2) 収益事業と収益事業以外の事業とに共通する費用又は損失の額は、継続的に、資産の使用
割合、従業員の従事割合、資産の帳簿価額の比、収入金額の比その他当該費用又は損失の性質に
応ずる合理的な基準により収益事業と収益事業以外の事業とに配賦し、これに基づいて経理する。
(注)公益法人等又は人格のない社団等が収益事業以外の事業に属する金銭その他の資産を収益
事業のために使用した場合においても、これにつき収益事業から収益事業以外の事業へ賃貸料、
支払い利子等を支払うこととしてその額を収益事業に係わる費用又は損失として経理することは
できないことに留意する。
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NPO法人についてもこの通達は適用されます。お尋ねの区分の件は上記の(2)にあるとおりです。
このなかの「合理的な基準」は、申告する法人側で決定する訳ですが、どういう割合で按分した
かについて、書類を作って事務所に備えておくと、税務署から調査が入った時に「合理的な基
準」の根拠を示すものとなります。もちろん、極端に偏ったものだと問題になりますから、注意
してください。
この件で、もっと詳しい方や、ご経験のある方がおられましたら、重ねてお返事くださると幸い
です。
シーズ事務局・轟木 洋子
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