NPOWEB

収益事業に該当するか教えていただきたいのですが、

NPO法人の実態調査を行っている法人で、
法人の業務内容や公開されている財務情報などをまとめ、
データベース化して公表しようと考えております。

今現在はこの事業に対する収入はありませんが、
最終的にはまとめた情報を使用して情報提供料のような形で
収入を得ようと考えています。

こういった事業の場合は収益事業に該当するでしょうか。

hara　さん

　定款の定め方によりますが、「NPO法人の実態調査を行っている法人」であるとのことですので、調査した実態調査結果に関する情報提供をする事業活動をする旨は定款に定めてあると思われます。
　そうだとすると、これはいわゆる「本来事業」（特定非営利活動に係る事業）に該当します。
　
　本来事業から収益があっても、それが「収益事業」（ＮＰＯ法第５条にいう「その他の事業」）になるわけではありません。

　　　　　　　　　　　　　　　弁護士　浅野晋

浅野先生ありがとうございます。

では、今回の場合は法人税が課税される34業種には該当せず、
税務申告は必要ないと考えていいということでしょうか。

ｈａｒａ　さん

　ＮＰＯ法と法人税法は別の法律であり、取り扱いは同じではありません。

　法人税法施行令５条一項各号に定める「収益事業」に該当すると、それがＮＰＯ法人の「本来の目的たる事業であるときであっっても、当該事業から生ずる所得については法人税が課される」（法人税法基本通達１５-１-１）ことになっていますのでご注意ください。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　弁護士　浅野晋

浅野先生ありがとうございます。

では、今回の場合法人税法上どのように扱われるでしょうか。
34業種のどれかに当てはまるということになりますでしょうか。

よろしくお願いいたします。

ｈａｒａ　さん

　「NPO法人の実態調査を行い、法人の業務内容や公開されている財務情報などをまとめ、データベース化して、……まとめた情報を使用して情報提供料のような形で収入を得る。」ということですので、その事業の形態によっては、法人税法施行令第５条一項十号の「請負業」または同項十二号の「出版業」に該当することとなる可能性があります。

　この「請負業」、「出版業」について、法人税法基本通達は次のように述べています。

「請負業」
　　……他の者の委託に基づいて行う調査、研究、情報の収集及び提供……等の事業は請負業に該当する。（基本通達１５-１-２７）

「出版業」
　　……出版業には、各種の名簿、統計数値、企業財務に関する情報等を印刷物等として刷成し、これを販売する事業が含まれる。（基本通達１５-１-３１）

　このような事業に該当するかどうか、また、どのような形態の事業にすれば収益事業に該当しないと言えるのかについては、税務判断の問題ですので、税理士さんか管轄の税務署にご相談なさった方が良いと思います。
　その場合、事前に法人税法基本通達を読んで、理論武装をしておいたほうが的確なアドバイスを受けられると思います。基本通達は「税務六法」（ぎょうせい）などに掲載されていますので、図書館で探してみてください。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　弁護士　浅野晋

浅野先生、ご丁寧にありがとうございました。