法人の事業年度変更 投稿者:
pepopa 投稿日:2009/05/09(Sat) 23:38:24
No.8510
こんにちは。
NPO法人の繁忙期が決算期に重なるために、事業年度の変更を検討しています。
事業年度の変更は定款変更となるので、所轄庁の認証を受けなくてはならない事項であると認識しています。
問題は、定款変更の効力発生日(認証の日?)と事業年度の変更がある年はいつで区切るかということです。
例えば、
旧:4月1日~3月31日
新:6月1日~5月30日 に事業年度を変更する場合、
2009年5月10日に定款変更の認証があれば
2009年4月1日~2009年5月30日
2009年6月1日~2010年5月30日(効力の発生した新しい事業年度でスタート)
と区切ればいいでしょうか?
(2009年4月1日~2010年5月30日まで1事業年度とするのは、マズイですよね)
2009年6月2日(以降)に定款変更の認証があれば
2009年4月1日~2009年6月1日(認証の日の前日まで)
2009年6月2日~2010年5月30日(認証の日から)
と区切ればいいでしょうか?
税金の申告の際には、事業年度が12ヶ月以上になってはいけないという話があったと記憶していて、税務上もこれで問題ないかも教えていただけるとありがたいです。
よろしくお願いします。
Re: 法人の事業年度変更 投稿者:
弁護士 浅野晋 投稿日:2009/05/16(Sat) 11:09:41
No.8537
pepopa さん
ご質問の件は、定款変更の際に、改正された事業年度がいつから適用されるかを、定款の改正付則に記載すれば解決できます。例えば、付則を次のように定めると明確になります。(なお、2は必ずしも必要ありませんが、あった方がはっきりします。)
(○○年○月○日総会の決議に基づく定款変更の付則)
1、定款第○条の変更に基づく新事業年度は、同定款変更の認証があった日の翌日か ら2010年5月31日とする。
2、定款第○条の変更前の事業年度は、2009年4月1日から同定款変更の認証の 日までとする。
この場合、変更後の事業年度も、変更前の事業年度も、いずれも1年より短くなりますが、問題ありません。
ところで、1年を超える事業年度が認められるかという問題があります。法人税法第13条1項は次のように定めておりますので、税法上は事業年度は1年で区切られることになります。
(事業年度の意義)
第十三条 この法律において「事業年度」とは、法人の財産及び損益の計算の単位となる期間(以下この章において「会計期間」という。)で、法令で定めるもの又は法人の定款、寄附行為、規則、規約その他これらに準ずるもの(以下この章において「定款等」という。)に定めるものをいい、法令又は定款等に会計期間の定めがない場合には、次項の規定により納税地の所轄税務署長に届け出た会計期間又は第三項の規定により納税地の所轄税務署長が指定した会計期間若しくは第四項に規定する期間をいう。ただし、これらの期間が一年を超える場合は、当該期間をその開始の日以後一年ごとに区分した各期間(最後に一年未満の期間を生じたときは、その一年未満の期間)をいう。
但し、これは法人税法上は「1年ごとに区分」するというだけであって、法人の事業年度は1年以内でなければならないという趣旨の定めではありません。
そこで、NPO法上、1年以上の事業年度の定めができるかどうかを検討する必要があります。
「事業年度」という文言は、NPO法第11条1項十号、第27条四号、第28条、第29条などで用いられていますが、事業年度は1年以下でなければならないという趣旨の定めはありません。
しかし、NPO法第27条四号、第28条、第29条が、「毎事業年度」会計処理の基準・手続きの継続運用や事業報告書等の作成、備え置き、所轄庁への提出等を定めています。
例えば、「100年」といった極端な事業年度が認められるとすると、これらの定めの意味が失われてしまいますから、NPO法上は、事業年度は1年以内というのを原則としていると解することができます。
但し、例えば設立当初の事業年度については、設立認証の日と、事業年度や改正付則の定め方によっては、1年以上の事業年度となることがあり得ますので、これについては例外的に有効と解して良いと考えています。
【例】
定款の定めで、事業年度を「4月1日から翌年の3月31日」としている場合に、定款の付則で「設立当初の事業年度は、設立認証の日から翌年の3月31日とする。」と定めていたとすると、設立の認証が3月20日の場合、設立当初の事業年後は1年を超えてしまう。
弁護士 浅野晋