NPOWEB

はじめまして。ＮＰＯｗｅｂを活用させて頂いております。特に中央政府の情報や他県の行政情報、そして助成金情報はとても参考になっています。
ところで、今度法人申請をすることになりまして、定款を作っていますが、いくつか質問がありますので、ご教授願います。
１．（活動の種類）
当団体は、分野を越えたボランティア・市民活動団体の情報誌の発行を基本とするＮＰＯの情報発信支援のＮＰＯですので、(１２)だと思いますが、高齢者福祉サービスを提供しているＮＰＯのヒアリングやアンケート調査を実施して冊子を作る事業もしています。
これまで２度発行して、今後も継続する方向です。(１)も加えた方がいいでしょうか？
２．役員(職務)
「理事は、理事会を構成し、総会の議決に基づき業務を執行する」と「理事は、理事会を構成し、理事会の議決に基づき業務を執行する」という団体があるのですが、どう違うのでしょうか。
今作っている定款の理事会（機能）には、「理事会は、総会の議決した事項の執行に関する事項を議決する」が入っています。
３．役員（任期）
「役員の任期は２年とする。但し、再任を妨げない。」が一般的ですが、「役員の任期は２年とする。ただし、1回を限りとする再任を妨げない」という案もあるのですが、メリット、デメリットをお教えください。
以上、長くなりましたが、よろしくお願い致します。

大久保さま

ＮＰＯＷＥＢをよくご利用いただいているようで、嬉しく思います。

さて、２つのご質問に順番にお答えいたします。

１）活動の種類
活動の種類は、必ず定款に書かなければなりませんが、この時複数選ぶことができますから、
将来活動範囲が広がるようなら、複数書いておかれるのも良い方法です。
大久保さんが書いておられる「高齢者福祉サービスを提供しているＮＰＯのヒアリングやア
ンケート調査」は、高齢者福祉サービスを提供しているＮＰＯの活動支援の一環だとして、
12号の「各号に掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、助言又は援助の活動」
に含まれるという解釈もできますから、この場合なら12号だけでも大丈夫と思います。
ただ、将来にわたって継続していかれるなら、１号も加えておいた方がすっきりするかも
しれません。

２）役員（職務）
ＮＰＯ法は、総会の権限については民法第６３条を準用しています。その条文は「特定非営
利活動法人の事務は、定款を以って理事その他の役員に委任した事項を除いて、すべて総会
の決議によって事務の決定を行う」というものです。
しかし、実際に日常の事務についての決定事項にあたって、毎回総会を開催するというのは
まず不可能です。そこで、定款において、理事の仕事と権限を定めておく必要があります。

この時に大事なことは、ＮＰＯ法第１６条の「理事は、各自がＮＰＯ法人の業務について法
人を代表するが、この代表権は、定款で制限することができる」という条文に注意を払うこ
とです。例えば、一人の理事個人の判断で何かの契約をしてきてしまい、それが法人に不利
益な結果を及ぼしたりしないよう、「理事は理事会の議決に従って事務を執行する」という
ように定款で制限をしておく必要がある訳です。

民法第６３条によって、総会の議決は何よりも優先しますから、「理事は理事会を構成し、
総会の議決に基づき業務を執行する」のは当然で、定款にこのように書くことも可能ですが、
あまりお薦めはできません。理事個人の判断で法人が不利益を被ることがないように、「理
事は、理事会を構成し、理事会の議決に基づき業務を執行する」と定めておいた方が良いか
と思います。

なお、社員やその他の会員などに分かりやすくするために、「理事は、理事会を構成し、こ
の定款の定め、総会および理事会の議決に基づき、本会の業務を執行する」と書いている
ＮＰＯ法人もあるようです。この場合も、実質上は「理事は、理事会を構成し、理事会の議
決の基づき業務を執行する」とした場合と全く同じことです。

３）役員（任期）
役員の「再任を妨げない」と定款に定めるか、「1回を限りとして再任を妨げない」とするか
は、完全にそのＮＰＯの判断です。「再任を妨げない」とすれば、経験のある方が長期にわ
たって理事となることが可能で知識の蓄積などができます。しかし、一方で同じ人が長い間
役員を務めることで組織が沈滞する、と考える人もいるかもしれません。どちらにするかは、
皆さんでよく話し合って決められるのが良いと思います。

では、またご質問がありましたら、お寄せください。

シーズ事務局・轟木　洋子

轟木様
早速のご回答ありがとうございます。
継続して活動していくためにも、３年、５年先を考えて検討したいと思います。
困ったときの「シーズNPOなんでも質問箱」に感謝しています。