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残余財産の処分について 投稿者:KANA 投稿日:2009/08/17(Mon) 15:43:51 No.8786
お世話になります。

このたび、NPO法人を解散して、
別の任意団体と合同で一般社団法人を設立することになりました。

その際の残余財産の処分ですが、
定款には「総会において定めた他の特定非営利活動法人または
民法34条によって設立された法人に帰属」と記載しています。

この場合、「非営利型の一般社団法人」は、
民法34条の「学術、技芸、慈善、祭祀、宗教その他の公益に関する
社団又は財団であって、営利を目的としないもの」
に該当致しますでしょうか。

それとも、あくまで上記は「公益社団法人(または財団法人)」
のみが対象となりますでしょうか。

ご教示のほどお願い申し上げます。
Re: 残余財産の処分について 投稿者:弁護士 浅野晋 投稿日:2009/08/19(Wed) 19:24:43 No.8789
KANA さん

1、民法の旧34条は、一般社団財団法の制定に伴い削除されました。

2、その削除に伴い、現行の民法33条2項は次のように定めています。

(法人の成立等)
第33条  (1項:略)
2  学術、技芸、慈善、祭祀、宗教その他の公益を目的とする法人、営利事業を営むことを目的とする法人その他の法人の設立、組織、運営及び管理については、この法律その他の法律の定めるところによる。

3、すなわち、民法33条2項は、法人を、①学術、技芸、………
その他の公益を目的とする法人、②営利事業を目的とする法人、③その他の法人、の3種類に分類しています。

4、ところで、一般社団がこの分類のどれに該当するかですが、一般社団財団法を読むと、一般社団法人が「非営利」法人であることについては同法11条2項に 「2  社員に剰余金又は残余財産の分配を受ける権利を与える旨の定款の定めは、その効力を有しない。」との定めがありますから、②ではないことは明らかです。

5、次に上記①に該当するかどうかですが、一般社団財団法の条項には、一般社団法人についてこれが「学術、技芸、………
その他の公益を目的とする法人」との趣旨の定めがありません。

6、すなわち、一般社団法人は、上記③の「その他の法人」に分類されることになります。

7、従って、、「非営利型の一般社団法人」であっても、民法旧34条の「学術、技芸、慈善、祭祀、宗教その他の公益に関する社団又は財団であって、営利を目的としないもの」には該当いたしません。

8、それでは「公益社団法人(または財団法人)」であれば該当するかどうかですが、解釈上は「該当する」とする考え方、「該当しない」とする考え方の両説があると思います。

9、ただ、NPO法11条3項は、

「3 第1項第12号に掲げる事項中に残余財産の帰属すべき者に関する規定を設ける場合には、その者は、特定非営利活動法人その他次に掲げる者のうちから選定されるようにしなければならない。
一  (略)
二  公益社団法人又は公益財団法人 」

と定めているのですから、もし公益社団法人に定残余財産を帰属させたいのであれば、定款を変更すれば疑義が解消します。

                  弁護士 浅野晋  
Re: 残余財産の処分について 投稿者:KANA 投稿日:2009/08/19(Wed) 20:40:44 No.8790
浅野先生、詳細なご回答を賜り誠にありがとうございました!
心より感謝申し上げます。
Re: 残余財産の処分について 投稿者:にんじん 投稿日:2009/09/13(Sun) 22:42:11 No.8824
脇から便乗して質問させて頂きます。
NPO法人が、NPO法十一条第三項に規定されて
いる者以外(例えば一般法人)に財産を譲渡
したいと考えた場合に解散決議をするより前
に臨時総会を開催して、財産の譲渡を決議し、
譲渡を実行した後で再度総会を開催し解散を
決議する。
という手続きを踏めば「残余財産」ではない
ので法令や定款に違反せずに財産の譲渡を行
えるのでしょうか?
それともあきらかな脱法行為であり認められ
ないと考えるべきでしょうか?
ご教示ください。
Re: 残余財産の処分について 投稿者:弁護士 浅野晋 投稿日:2009/09/15(Tue) 19:21:49 No.8827
にんじん さん

 財産の譲渡行為が、当該法人の目的に合致しているのであれば、にんじんさんのおっしゃっている方法は合法的です。

 しかし、それが当該法人の目的に合致しないのであれば、その方法は脱法的です。
 例えば、金銭的価値がある資産を、無償で営利法人に譲渡してしまうような場合は、当該NPO法人の目的の範囲内の行為とは言えないように思われます。
 
 適正な対価での有償譲渡の場合は、そのような問題は生じませんが、その対価自体が残りますので、それをどうするかという問題が生じます。

                  弁護士 浅野晋
Re: 残余財産の処分について 投稿者:にんじん 投稿日:2009/09/15(Tue) 21:50:05 No.8832
浅野先生早速の回答有難うございます。

営利法人への財産の無償譲渡は非営利の
精神を逸脱する脱法行為であることは仰
るとおり明らかですね。
私がこの質問を行ったのは今後増えるで
あろうNPO法人の公益法人への組織替
えを想定してのことです。
NPO法人を運営する人々が、同じ事業
を公益法人で行おうと考えた場合に、ま
ず一般法人を設立し、公益認定申請を行
い、認定を受け公益法人になった後に財
産を譲渡すれば問題はないでしょうが、
認定を受ける前に一般法人の段階で質問
のような手続きで譲渡することは、先生
の仰る「当該法人の目的に合致していて
合法的」と考えてよいのでしょうか。。
Re: 残余財産の処分について 投稿者:弁護士 浅野晋 投稿日:2009/09/21(Mon) 12:40:42 No.8835
にんじん さん

 適法か違法(脱法行為)かは、事案による(ケースバイケース)であると思われます。

 当該NPO法人の目的と同一の目的を持った一般社団に財産を無償譲渡することが、当該NPO法人の目的達成のために有益であるのであれば、当該財産の無償譲渡は目的の範囲内の行為であり適法であると思われます。

 しかし、譲渡先の法人の目的が、当該NPO法人の目的と全く違う目的である場合、当該財産の無償譲渡は脱法的であると思われます。

                     弁護士 浅野晋
Re: 残余財産の処分について 投稿者:にんじん 投稿日:2009/09/24(Thu) 19:39:10 No.8845
浅野先生
回答有難うございます。

NPO法人が、その目的を実現するために、より税制の優遇を
受けられる公益法人に衣替えすることを決意し、財産の無償譲
渡を総会で決議すればそれは合法的だと考えていいようですね。

今回の公益法人改革では特例民法法人が一般法人に移行認可を
申請する場合には、その蓄積してきた財産は公益目的財産としての縛りを受け、団体の自由意思で処分することを許されていませんが
NPO法ではそこまで強い拘束はされないと考えて良いのでしょうかね。

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