English Page
認定NPO法人の要件と政治活動 投稿者:岡本仁宏 投稿日:2010/03/05(Fri) 19:07:04 No.9131
 NPO法人の政治活動の制限について、現在調べているのですが、その過程で、認定NPO法人の政治活動(また宗教活動)の制限について、シーズはどのように把握しているのか、おしえていただきたく投稿いたします。

認定NPO法人の要件は、政令(租税特別措置法施行令)第三十九条の二十三でされていますが、そのなかに下記のようにあります。

---------------------------
四 その事業活動に関し、次に掲げる要件を満たしていること。
  イ 特定非営利活動促進法第二条第二項第二号に規定する次に掲げる活動を行つていないこと。
  (1) 宗教の教義を広め、儀式行事を行い、及び信者を教化育成すること。
  (2) 政治上の主義を推進し、若しくは支持し、又はこれに反対すること。
  (3) 特定の公職(公職選挙法(昭和二十五年法律第百号)第三条に規定する公職をいう。以下この号において同じ。)の候補者(当該候補者になろうとする者を含む。)若しくは公職にある者又は政党を推薦し、若しくは支持し、又はこれらに反対すること。
---------------------------

 この表現は、もちろん、特定非営利活動促進法の2条2項2号の
-----------------------------
二  その行う活動が次のいずれにも該当する団体であること。
イ  宗教の教義を広め、儀式行事を行い、及び信者を教化育成することを主たる目的とするものでないこと。
ロ  政治上の主義を推進し、支持し、又はこれに反対することを主たる目的とするものでないこと。
ハ  特定の公職(公職選挙法 (昭和二十五年法律第百号)第三条 に規定する公職をいう。以下同じ。)の候補者(当該候補者になろうとする者を含む。)若しくは公職にある者又は政党を推薦し、支持し、又はこれらに反対することを目的とするものでないこと。
-----------------------------
とは、明らかに異なる。つまり、
 法は、
「主たる目的とするものでないこと」
「目的とするものでないこと」
とそれぞれ定められているのに、政令要件では、「行っていないこと」とされて、より強い要件を課しているわけです。

 シーズの関係者の皆様には周知のように、この「目的とする」という文言は、法の立法過程でもかなり議論になったところで、ハについては、参議院で審議段階でわざわざ挿入され、何度も議論がなされたところです。
 お聞きしたいのは、この認定NPO法人の政治活動(宗教活動)制限の要件について、この政令要件について、シーズはこれまで(政令についての策定過程やその後の運用過程において)、何らかの態度をとって議論したことがあったのか、ということです。
 なお、シーズ発行の『とるぞ!!認定NPO法人』においても、国税庁の一般的な表現「宗教活動、政治活動、選挙活動等を行っていないこと」をそのまま援用されておられます。法の策定過程においては、政治活動などの取り扱いについては非常に大きな問題となり、シーズも非常に積極的に活動されたと思いますが、認定NPO法人の要件の場合には、そのような活動をされておられたのか、あるいは、何か特定の見解があって、このような非常に包括的な制限を認めておられるのか、お教え下さいますようにお願いいたします。

 大変お忙しいと思いますので、恐縮ですが、もし可能なら、お願い申し上げます。
 


Re: 認定NPO法人の要件と政治活動 投稿者:シーズ関口 投稿日:2010/03/09(Tue) 20:23:02 No.9140
岡本さま

お世話になっております。
シーズ・市民活動を支える制度をつくる会の関口と申します。
ご投稿ありがとうございました。

当時の立法に携わった松原とも確認したのですが、ご質問いただいた認定NPO法人の要件と政治活動の関係を詳細に正確にお答えするには、当時の資料を当たらなければならない状況です。

当時の資料は、倉庫の奥に保管してあるため、お答えするにはかなり時間をいただくことになりそうです。

申し訳ございませんが、ご了承ください。

取り急ぎ、下記国会でのやり取りがご参考になるかと思います。
よろしくお願いいたします。

---------------------------------------------------------
第151回国会 財務金融委員会 第4号(平成13年2月27日(火曜日))

http://www.shugiin.go.jp/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/009515120010227004.htm?OpenDocument

村上誠一郎 財務副大臣
尾原榮夫 財務省主税局長(政府参考人)
松本剛明 委員

○松本(剛)委員 後ほどお聞きをする部分に入るかと思いますが、民主党を中心に提出をさせていただいた法案では、二十億という数字がたしか出ていたというふうに記憶をしております。今の中で財務省さんとしてどのぐらいの見積もりを立てておられるのか。我が党が友党の皆さんと提出をさせていただいている法案とどのぐらい違うのかというのをぜひ一度お見積もりをいただきたい、このようにお願いを申し上げておきたいと思います。
 それで、今おっしゃった個々の認定の要件についてお伺いをしたいところがたくさんあるわけでありますが、幾つかに絞ってお聞きをさせていただきたいと思います。
 まず初めに、宗教、政治活動を行わない、このようになっております。NPO法の認証の基準でも、宗教、政治活動については触れておるわけでありますが、主として行わないというのと行わない、つまり一切行わないというのには大きな隔たりがあるのではなかろうかというふうに思います。
 ぜひ大臣に、政治活動といったものをどのようにお考えいただいているか、お聞きをさせていただきたいと思います。

○村上副大臣 お答え申し上げます。
 特定非営利活動法人は、NPO法上、宗教活動や政治活動を主たる目的とするものでなければ、これらの活動を行うことは可能であります。
 税制上の特例措置については、宗教活動や政治活動を行うことにより特定の立場に偏ることは適当でないことから、宗教活動及び政治活動を一切行っていないことを要件としております。この場合の宗教活動、政治活動については、NPO法上、第二条第二項第二号に規定している活動とすることとしている。具体的には、宗教活動とは、「宗教の教義を広め、儀式行事を行い、及び信者を教化育成すること」としております。政治活動とは、「政治上の主義を推進し、支持し、又はこれに反対すること」、「特定の公職の候補者若しくは公職にある者又は政党を推薦し、支持し、又はこれらに反対することを目的とするものでないこと。」としております。
 以上であります。

○松本(剛)委員 確認をさせていただきたいと思いますが、例えばNPOの法人がこの税制について私どもに対して、ぜひこういった認定基準は変えていただきたい、このように御要請をいただいたとすれば、これは政治活動に当たるのでしょうか、当たらないのでしょうか。

○尾原政府参考人 ただいま副大臣から、政治活動の定義についてお話がございました。その反射といたしまして、政策提言のようなものはこれに該当しないというふうに考えております。

○松本(剛)委員 政策提言というお言葉がありましたけれども、そういったものと特定の主義を進めるといったこと、この辺はどなたがどのように認定をされるのか、その基準はどこにあるのか、お教えをいただきたいと思います。

○尾原政府参考人 まさに今回の税制の特例措置では、NPO法の二条二項二号に規定する活動をしてはいけないというふうに規定する予定でございます。それで、その認定は国税庁が行うことになってまいります。
 それで、NPOの寄附金税制はどうあるべきだというのは政策提言でございましょうから、そのような御主張をなさること自体、これに反するということではないというふうに理解しております。

○松本(剛)委員 長官の御判断ということになるようでありますが、しかし、先ほどお話がありましたように、特定非営利活動の促進のための法人税法等の一部を改正する法律案ということで提案をさせていただいた河村議員の当初のお話、提案理由をお聞きいただいたら、これは政策というよりは主義に近いということもお感じいただけたのではないかというふうに思います。また、法案を読む限り、おっしゃっていた、政策提言はこれに当たらないとか、こういったことはここには出てきていないわけでございまして、これ以上の細かい基準というのをどこかに明示をされる御予定はございますか。

○尾原政府参考人 今のNPO法に書いてあることを引くことにしてございまして、それを私どもの方でさらに解説をつけ加えるということは考えておりません。

○松本(剛)委員 今、幾つか例を挙げてお聞きをしたわけでありますが、逆に申し上げれば、一つ一つお聞きをしない限りわからないということであれば、明確な基準とは言えないのではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。

○尾原政府参考人 現在のNPO法の認証に当たっても、主たる事業がこのようなものに該当しないかどうかという判断を所轄庁がやっているわけでございまして、そのようなことから考えましても、国税庁において、そのような事業に当たるのかどうかということについては、関係方面とも、この法令を持っているところにも聞かなければいかぬのだと思いますけれども、判断ができるものと考えております。

○松本(剛)委員 内閣府にお聞きをさせていただきたいと思いますが、この認証に当たって、どんな形で政治活動、宗教活動を御判断されているのか。主たると一切という部分には大きな違いがあろうかというふうに思いますけれども、お教えをいただけたらと思います。
 また、今回のこの税制優遇は、内閣府の要望で、財務省がこれを受けておつくりになった、こういうことでありますが、当初の内閣府の御要望で、政治活動、宗教活動を一切行わないということを基準として御要望されたのかどうかもお答えをいただきたいと思います。

○池田政府参考人 NPO法の運用につきましては、できるだけ所轄庁が裁量を働かさないということでございまして、宗教、政治活動を主として行わないかどうかにつきましては、申請法人から確認書を出していただいている、それによって認証確認をしているということであります。
 それから、基準につきましてですが、私ども旧経済企画庁が昨年八月に税制改正要望を行ったわけでございますが、そのときの適格性の認定基準というものは、NPO法人に対して税制上の優遇措置を設けるについては、国民の納税の義務を免除するものである以上、相当の公益性を有するNPO法人を適切に選んで行う必要がある、ただし、今後NPO法人の実態を踏まえてさらに検討していくこととすると。それで、掲げています柱が、相当の公益性の担保。そのうち、活動・事業内容の公益性に着目した一定の基準、それから、収入面に着目して一般からの支持度合いをはかる基準。それからもう一つの大きな柱が、適切な業務運営。特定の個人、法人その他の団体の利益を目的として事業を行うことを排除する効果を持つ要件を満たしているか判断する、こういうことであります。
 その後、最初に設定しました認定基準が、まさに実態を踏まえて、さらに具体的な検討がそれぞれの分野で行われていったということだろうと思います。そして、その結果、先ほど御答弁がございましたとおり、その趣旨を踏まえて税による支援を受ける場合には、宗教活動や政治活動を行うことにより特定の立場に偏ることは適当ではないことから、宗教活動及び政治活動も一切行ってはならないとなったと理解しております。

○松本(剛)委員 確認でありますけれども、そうしましたら、当初は政治活動、宗教活動を一切行わないという基準が特にあったわけではない、検討していく中で出てきたということの理解でよろしいのかどうかということが一点。
 もう一つは、認証に当たってはNPO法人から確認書をとっておる、基本的にはそれをもって確認にかえている、こういう理解でよろしいのでしょうか。

○池田政府参考人 後段のところは、そういう運用を行っております。
 それから前段のところは、先ほどから申しましたとおり、相当の公益性の担保、それから適切な業務運営、それについてちょっと幾つか書いてあるわけですが、それがプリンシプルであるということで、ではそれを具体的にどうしていくのかという過程でいろいろな検討があって、先ほどの基準になったものと理解しております。

○松本(剛)委員 財務省にお伺いをしたいと思いますが、認証に当たっては確認書をとるという形で政治、宗教活動について確認をしているということでありましたが、財務省の方でも、一切そういったことを行っていないという確認書をもって手続をお進めになるお考えかどうか、お聞きをしたいと思います。

○尾原政府参考人 具体的にどうするかという点につきましては、この法律がお認めいただけましたら国税庁において検討がなされるものというふうに考えております。
 なお、今回、情報公開ということを非常に大切にしておりますのも、実は国税だけに、一般の方の御批判とでもいいましょうか、御支持とでもいいましょうか、そういうことが非常に大切であるということで公開を他方お願いしているところでございます。

○松本(剛)委員 ぜひ、NPO法に準じてということで基準を設けられたということでありますから、手続についてもNPO法の精神をぜひ生かしていただいてお進めをいただきたい、このように思います。

- WebForum -