議事録署名人の理事長が当該総会で辞任 その場合の印鑑は? 投稿者:
ていぬ 投稿日:2011/03/14(Mon) 12:21:41
No.9717
長い題名ですみません。総会に関する質問です。
議事録署名人として予定している2名のうち
1名を現理事長が担当することになっているのですが
その総会当日の議案で役員改選が行われ、
理事長が役員を辞任する予定です。
理事長は議事録署名人の任命時点で会の代表であったので、
議事録に代表印を押してもよいでしょうか。
それとも総会終了後、議事録作成時点では
代表者ではありませんので、使えないことになりますか。
またそういうことが予めわかっている場合は、
議事録署名人として新理事長を互選した方がいいでしょうか。
議長やもう一人の議事録署名人の方に
実印での捺印、印鑑証明の準備などわずらわしいことを
していただかないように…と思っています。
アドバイスをお願いいたします。
Re: 議事録署名人の理事長が当該総会で辞任 その場合の印鑑は? 投稿者:
弁護士 浅野晋 投稿日:2011/03/15(Tue) 14:59:36
No.9719
ていぬ さん
議事録に署名人が署名するのは、その議事録の記載の正確性を署名人が証明する趣旨です。
議事録に署名人の署名を要するか否か、署名人が署名するとしても誰が署名人となるのかについて、法令上は何も定めがありません。したがって、議事録署名人の署名がない議事録も、法令上は何の問題もありません。
議事録署名人を誰にするか定款で決めているところもありますが、定款にも規則類にも何の定めも無いところもあります。
定款で定めている場合、例えば、議長とか、出席正会員の内議長が指名する者とか、総会の議決により決めるとか、理事とか様々です。
議事録ができるのは総会が終了したのちですから、その間に議事録署名人が死亡したりして、署名出来ない場合があります。また、何かの事情で、はじめから定款で定める議事録署名人がいない場合もあり得ます。
このような場合、議事録に定款通りの署名人が署名していないという事態が生じます。これは、定款違反ではありますが、議事録に署名する趣旨が上述した趣旨によるものですから、定款違反を重大視する必要はありません。
このような場合どうするかですが、例えば議事録署名人であるはずのAが、総会後に死亡した場合は、議事録署名人欄に「議事録署名人Aは、○年○月○日死亡したので署名できない。」と付記し、その付記の責任の所在を明らかにする趣旨で、付記した人が署名するという方法をとります。
他の事情の場合も同様にして処理することが出来ます。
形式的に定款違反の状態が生じたとしても、議事録が実質的に無効となるわけではありません。
御質問のケースでは、「前理事長」との肩書きを付けて署名すれば問題ないように思われます。
なお、議事録の署名は個人の立場で署名しますので、捺印する場合は代表者印ではなくその方の私印で捺印します。
なお、証明書類としては「実印、印鑑証明」というのが確実ではありますが、一般に、議事録の署名にそこまで要求している例は殆どないと思われます(私自身は、その実例を知りません。)
署名(手書きで自分の名前を書く)と、認め印での捺印で十分だと思われますがいかがでしょうか。
弁護士 浅野晋
Re: 議事録署名人の理事長が当該総会で辞任 その場合の印鑑は? 投稿者:
田舎の事務局長 投稿日:2011/03/16(Wed) 08:02:16
No.9720
いつもこの質問箱を参考にさせていただいておる者です。
当地域の法務局は、実印・印鑑証明を求められます。
但し、法人の代表者が著名人で、代表印の押印があれば、他の著名人は認印で良いということです。参考までに。
Re: 議事録署名人の理事長が当該総会で辞任 その場合の印鑑は? 投稿者:
弁護士 浅野晋 投稿日:2011/03/16(Wed) 16:17:46
No.9721
田舎の事務局長 さん
1、田舎の事務局長さん、ご指摘ありがとうございました。
理事の選任その他登記事項の変更を伴う総会の議決に係る議事録について、説明が不十分でしたので補足します。
2、NPO法人の登記についての根拠法令は「組合等登記令」(政令)ですが、この組合等登記令25条は商業登記法148条を準用しています。
この商業登記法148条は、「この法律に定めるもののほか、……、登記申請書の様式及び添付書面その他この法律の施行に関し必要な事項は、法務省令で定める。」と定めております。
ここに言う「法務省令」というのは「商業登記規則」のことですが、この商業登記規則61条2項、4項は、取締役等の就任の登記等をする場合の添付書類等について定めています。すなわち、NPO法人の理事の登記についても、この商業登記規則61条が適用され、そこに記載されている添付書類が必要とされるわけです。
3、この商業登記規則61条2項、4項を、NPO法人の場合についてリライトすると、次のようになります。
「第61条 1 (略)
2 設立(合併及び組織変更による設立を除く。)の登記の申請書には、設立時理事が就任を承諾したことを証する書面の印鑑につき市区町村長の作成した証明書を添付しなければならない。理事の就任(再任を除く。)による変更の登記の申請書に添付すべき理事が就任を承諾したことを証する書面の印鑑についても、同様とする。
3 (略)
4 理事の就任による変更の登記の申請書には、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める印鑑につき市区町村長の作成した証明書を添付しなければならない。ただし、当該印鑑と変更前の理事が登記所に提出している印鑑とが同一であるときは、この限りでない。
一 社員総会の決議によつて理事を定めた場合
議長及び出席した理事が社員総会の議事録に押印した印鑑
二 、三 (略) 」
4、すなわち、こういうことになります。
①まず、総会の議事録については、先にした説明の通りです。すなわち、法令上決まった署名人というのはありませんし、実印で押捺する必要もありません。
②次に、理事の選任など登記を要する事項についての議事録は、商業登記規則61条の定めに従った議事録を提出しなければなりません。
③この商業登記規則61条によれば、総会の議事録には、「議長及び出席した理事」の実印での捺印、印鑑証明書の提出が必要ということになります。
④なお、その議事録署名人の一人が、すでに法務局に、代表者印を登録しているときは、その登録印の押捺があれば、他の署名人は認印の押印で足ります。
⑤以上の次第で、議事録署名人の一人には、法務局に代表者印を登録している理事(多くは代表理事)になってもらえば、他の署名人の印鑑証明書提出の手間が省けるということになるわけです。
以上補足します。
弁護士 浅野晋
Re: 議事録署名人の理事長が当該総会で辞任 その場合の印鑑は? 投稿者:
田舎の事務局長 投稿日:2011/03/17(Thu) 11:43:07
No.9723
浅野先生様
ありがとうございます。
頭の整理がつきました。