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採算とらない収益事業 投稿者:かとう 投稿日:2002/04/10(Wed) 20:28:00 No.973
8日の税務セミナー参加しました。
様々な事例が盛り込まれた充実の内容でしたし、資料が親切設計なのに感激しました。
ありがとうございました。

ところで、実際に申告書を作成するにあたって、どの部分が税制上の収益事業になるのか、
自分で判断できないので、質問させていただくことにしました。

最初から赤字になることがわかってやっている事業は収益事業と考えなくてよい、
というようなお話があったと記憶していますが、このあたりを具体的に教えてください。

当会の活動のうち収益事業と見なされる可能性があるものとして、
エコツアーの実施、ブックレットの発行などがあります。
しかし、たいていの場合、助成金を受けて実施するため、売上で採算を取ることを想定していません。
それでも、実際にそのための経費を取り出して赤字であることを申告しなければならない
のでしょうか?

または、対象が不特定多数であるかどうかも判断基準になるのでしょうか?
Re: 採算とらない収益事業 投稿者:公認会計士・赤塚和俊 投稿日:2002/04/14(Sun) 08:53:00 No.974
かとうさん

税務セミナーに参加いただき、ありがとうございました。

> 最初から赤字になることがわかってやっている事業は収益事業と考えなくてよい、
> というようなお話があったと記憶していますが、このあたりを具体的に教えてください。

この問題は具体的に例示するのは困難です。と言いますのも、法人税法や政令等で明示さ
れていないのです。税務署により判断が異なっているということもあります。収益事業と
考えなくてもよいという判断の根拠としては、立法趣旨からして課税しなくても弊害がな
い(つまり税務署の裁量)という場合や、請負業に関する実費精算の通達の準用などがあ
げられます。

物品を実費で譲渡するようなケースでは、立替金や預り金で経理処理することによって、
収益性がないことを明確にするのも一つの方法です。

> 当会の活動のうち収益事業と見なされる可能性があるものとして、
> エコツアーの実施、ブックレットの発行などがあります。
> しかし、たいていの場合、助成金を受けて実施するため、売上で採算を取ることを想定
> していません。それでも、実際にそのための経費を取り出して赤字であることを申告し
> なければならないのでしょうか?

売上で採算を取ることを想定していなくても、助成金を含めると黒字なのであれば採算を
度外視していることにはなりません。助成金もその事業の収入になるからです。

エコツアーの場合はその内容にもよりますが、収益事業と判断されます。企画を立てるだ
けで旅行業者から手数料を受け取るのであれば請負業です。計画作成、募集、実施までN
PO法人で行うのであれば代理業です。この場合は収益事業に該当するだけでなく、不特
定多数を対象に募集するのであれば旅行業法違反になる可能性もあります。詳しくは東京
ボランティアセンター情報誌「ネットワーク」No.246に解説が載っています。

ブックレットは出版業ですから収益事業です。全部売れても助成金を含めても赤字という
場合は収益事業と考えなくてもいいという判断もあり得ますが、仮に他の収益事業がある
とすれば、赤字の事業も含めて申告した方が課税所得の計算上は有利になります。

> または、対象が不特定多数であるかどうかも判断基準になるのでしょうか?

関係あります。33業種の業種によって違うのですが、たいていの業種は不特定多数を対
象としている場合にだけ収益事業となります。典型的なものは物品販売業や出版業です。

                       公認会計士・赤塚和俊

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