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法人の年度変更について 投稿者:kiri 投稿日:2011/06/09(Thu) 16:59:53 No.9940
 現在の法人の年度は4月1日~3月31日にしています。総会を終え、これを10月1日から9月30日に変えようと思って所轄庁に相談に行ったところ、
・今から定款変更の届けを提出しても認証に時間がかかるから今回は間に合わない
・事業年度を変えると現在の役員の任期(4月1日~3月31日)とずれてくる。(私たちのNPO法人の役員の任期は1年交代であるため)、変更後は事業報告等のための総会と役員変更のための総会と毎年2回やらなくてはならなくなる。法務局ではそういう扱いになるものだ。

 といわれました。ただ、他のNPO法人でも事業年度を変えているところはあるし、それで役員を選ぶためだけの総会を開いているというはなしもききません。なるべくスムーズに事業年度を変更するためにはどうしたらよいでしょうか。
Re: 法人の年度変更について 投稿者:弁護士 浅野晋 投稿日:2011/07/03(Sun) 23:09:46 No.9985
kiri さん

 事業年度を変更すると、たしかに、定期総会の時期と役員の任期のずれが生じて、臨時総会を開かなければならないことになる場合があります。
 このような場合には、定期総会の際に、任期が残っている役員全員が辞任し、新たに新役員を選任すれば解決できます。

次のような設例でご説明します。
 ①年度は10月1日から翌年の9月30日までとなっている。
 ②現時点での役員の任期は、2010年4月1日から2012年3月31日まで。(定款で、役員の任期は「2年間」と定められていると仮定)
 ③通常総会の開催日は、2011年11月15日。

 この場合、現行役員が2011年11月15日(総会の日)に全員辞任し、同日新たな役員の選任をすれば、新たな役員の任期は2011年11月15日から2013年11月14日となります。
 上記1の場合、事業年度と役員の任期が異なることになりますが、無理にこれを一致させる必要はありません。通常総会は、事業年度が終了してから2ヶ月程度経過してから開催されるのが通常ですから、事業年度と役員の任期がずれるのは自然のことです。

 事業年度と役員の任期を合わせようとすると、事業年度が終了する以前に総会を開催する必要がでてきますので、面倒なことになります。

 なお、例えば11月15日に開催される総会で、翌年の10月1日から任期が始まる役員を選任することはできません。これは、選任の議決と就任の日があまり離れていると、その間に会員になった人の権利を害することになるからです。
 じつは、株式会社でも同じ問題があって、例えば「6月末に開催される株主総会で、8月1日から任期が始まる取締役の選任ができるか。」という議論がなされています。
 通説、判例は、このような選任は有効であるとしていますが、いったいどれぐらい以前の選任が可能かについては明確ではありません。
 この期間を余り長くすると、その間に株主となった人の株主権(その中には当然取締役選任の議決権も含まれます)を侵害することになるため、無制限に長い期間でも有効であると認めるわけにはいかないからです。
 そこで、どれくらいの期間であればOkかというと、1ヶ月程度であれば全く問題ありませんが、これが2ヶ月以上くらいになると、法務局の登記官によって判断が違ってきて、登記ができない可能性もあります。
 なお、上記の「1ヶ月程度であれば全く問題ない」との趣旨の見解は、法務省民事局の担当者が中心になって執筆されている「実務相談株式会社法(中巻)」548頁(商事法務研究会)に記載されておりますますし、登記実務上も問題ないようです。

        弁護士 浅野晋

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