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実施にあたってのボランティア団体の協力 投稿者:いわ 投稿日:2002/04/23(Tue) 01:28:00 No.998
NPO法人が業務委託を受けた業務を実施する際に、NPO法人の会員の所属する(主催する)
別のボランティアサークル(現在NPO法人の会員でない人を多く含む)に協力を求めたい。
そしてNPO法人は実施協力してくれるサークルに協力費(委託費の9割程度)を支払いたい。
今後、同様な委託を時々受ける見込みがある。

このとき、

・NPO法人が「まるなげ」などということで、法的な問題が生じないこと。
 (そもそも問題の起こる余地はあるのかないのか?)

・実施サークルに所属する個人の口座に振り込むことはしたくなく、サークルの預金口座
 に振り込みたい、

ができるためには、

(1) NPO法人は実施サークルとどのようなつながり(関係)であればいいのか?

(2) NPO法人はどのような名目の領収書を実施サークルからもらえばいいのか?
  (サークルから領収書をもらうことには必ずしもこだわらず、
   どのような対処をすればいいのか?)

について、教えていただけたら幸いです。

質問箱で少し関連しそうなところを拝見すると、NPOは「支払手数料支出」ということで
支出を計上しておけば良さそうですが、そのような解釈でいいのでしょうか?
よろしくお願いします。
Re: 実施にあたってのボランティア団体の協力 投稿者:いわ 投稿日:2002/04/26(Fri) 13:36:00 No.999
もしも関係あれば、と思い、補足します。
NPO法人が請け負う業務内容は、ボランティア人材養成、障害者の情報保障など、
法人税法上の(請負業を除く)業種には含まれないものです。
これらは、以前教えていただいた法人税基本通達15-1-29により、
仮に請け負ったとしても法人税法上の収益事業にならない、と理解しています。
その他、考える上で必用な情報がありましたら、お知らせ願います。
よろしくお願いします。
Re: 実施にあたってのボランティア団体の協力 投稿者:公認会計士・赤塚和俊 投稿日:2002/04/29(Mon) 15:36:00 No.1000
いわさん

いわ> ・NPO法人が「まるなげ」などということで、法的な問題が生じないこと。
いわ>  (そもそも問題の起こる余地はあるのかないのか?)

法的には問題はないと思いますが、発注者(自治体ですよね)側の規約、要綱あ
るいは契約書の条文等で制約が設けられている可能性はあります。

> ・実施サークルに所属する個人の口座に振り込むことはしたくなく、サークル
>  の預金口座に振り込みたい、
>
> (1) NPO法人は実施サークルとどのようなつながり(関係)であればいいのか?

つながりというよりも第三者性が求められると思います。すなわち両者が一体か
もしくは密接な関係がある場合には委託契約の公正さに疑問が生じるからです。
実施サークルがNPO法人から独立した意思決定機関や執行組織を有している必
要があります。

> (2) NPO法人はどのような名目の領収書を実施サークルからもらえばいいのか?
>   (サークルから領収書をもらうことには必ずしもこだわらず、
>    どのような対処をすればいいのか?)

領収証の名目以前にNPO法人と実施サークルとの間で契約を結ぶ必要がありま
す。その契約書に委託(再委託)する業務の内容、期間、支払方法等を明記しま
す。この契約内容が明確であれば領収証は銀行振込の領収証でも構いません。

> 質問箱で少し関連しそうなところを拝見すると、NPOは「支払手数料支出」と
> いうことで支出を計上しておけば良さそうですが、そのような解釈でいいので
> しょうか?よろしくお願いします。

勘定科目は支払手数料でも委託費でも構いません。問題は実態です。

なお、法人税法上の収益事業に該当するかどうかは、上記の問題とは全く別の
問題です。ボランティア人材養成は、自主事業であれば(有償であっても)収
益事業には該当しませんが、これを自治体からの委託で行うのであれば、請負
業に該当する可能性があります。基本通達15-1-29で収益事業から除外(この
場合は技芸教授業の限定列挙に該当しない)されるのは、あくまで受講者から
教授料を徴収する場合であって、他の委託を受けて行うのであればそもそも技
芸教授業の概念には含まれないと思います。「障害者の情報保障」については
業務内容がわかりませんので判断しかねます。

                  公認会計士・赤塚和俊
Re: 実施にあたってのボランティア団体の協力 投稿者:いわ 投稿日:2002/04/30(Tue) 23:54:00 No.1001
赤松さま:

ありがとうございます。

赤> 法的には問題はないと思いますが、発注者(自治体ですよね)側の規約、
赤> 要綱あるいは契約書の条文等で制約が設けられている可能性はあります。

当面は2種類で、分けて考えた方が良さそうだと思いました。

1つ目は、自治体や社協から、そこのボランティア人材養成事業に対してNPO
法人へ支援依頼するものです。
今までだと、交通費として数千円程度いただいたことがあります。
今後、よりNPO法人に任されて数万円以上になるかもしれません。
どのへんから請負契約となる可能性が強くなるでしょうか?

2つ目が本題で、これは文部科学省のある学校の授業支援事業に対するNPO法
人への支援依頼です。それをNPO法人が外部のボランティアサークルの協力を
求めて遂行したいと思っています。この内容が授業の情報保障で、例えば、聴
覚障害学生に対して、講義中の先生のお話などを要約文章にしてプロジェクター
等へ表示するサービスです。文部科学省発注工事請負等契約規則には、再委託
に関する制約が設けられているでしょうか?
(この規則をweb上で探せませんでした)

い> (2) NPO法人はどのような名目の領収書を実施サークルからもらえばいいのか?
い>   (サークルから領収書をもらうことには必ずしもこだわらず、
い>    どのような対処をすればいいのか?)

赤> 領収証の名目以前にNPO法人と実施サークルとの間で契約を結ぶ必要がありま
赤> す。その契約書に委託(再委託)する業務の内容、期間、支払方法等を明記しま
赤> す。この契約内容が明確であれば領収証は銀行振込の領収証でも構いません。

超簡単な委託契約書とは、

甲(NPO法人)は乙(実施サークル)へ、以下を委託し、乙はこれを受託する。
  【委託内容、期間、金額、支払方法を明記】
以上、合意の証として、本契約書を2部作成し、甲乙各自1通保存する。
     甲 NPO法人名、代表者名 印
     乙 サークル名、代表者名 印

というのでいいでしょうか?

尚、ここでの委託費用は数万円程度の見込みです。
 委託費用ー再委託費用=数千円
を収益として、その22%を納税することになるのでしょうか?

あるいは、実施サークルに全額支払い、その後実施サークルからは任意の寄付
がもしもきた場合、実施サークルに第三者性がなくなるなどの問題が起こるで
しょうか?

よろしくお願いします。
Re: 実施にあたってのボランティア団体の協力 投稿者:公認会計士・赤塚和俊 投稿日:2002/05/03(Fri) 09:50:00 No.1002
いわさん

> どのへんから請負契約となる可能性が強くなるでしょうか?

交通費数千円程度は実費弁償の範囲内ですよね。それではいくら位から委託も
しくは請負となるかは、金額で線引きできるものではありません。ただし自治
体であれば委託もしくは請負であるならば、きちんと契約を結ぶはずだと思い
ます。委託と請負の区別についてはQ1040に対するA1042を参照して下さい。

> 文部科学省発注工事請負等契約規則には、再委託に関する制約が設けられて
> いるでしょうか?

文部科学省については私もわかりませんが、委託契約であれば契約前に費用の
明細を見積もりの形で出すことになるのでその段階でチェックされるはずです。
再委託が絶対ダメという訳ではありません。請負に関しても「丸投げ」が問題
になったというのは、土木・建築関係以外ではあまり聞いたことがありません。

> 超簡単な委託契約書とは、
> 甲(NPO法人)は乙(実施サークル)へ、以下を委託し、乙はこれを受託する。
>   【委託内容、期間、金額、支払方法を明記】
> 以上、合意の証として、本契約書を2部作成し、甲乙各自1通保存する。
>      甲 NPO法人名、代表者名 印
>      乙 サークル名、代表者名 印
> というのでいいでしょうか?

それで結構です。

> 尚、ここでの委託費用は数万円程度の見込みです。
>  委託費用ー再委託費用=数千円
> を収益として、その22%を納税することになるのでしょうか?

原則を言えば、同種の事業を継続反復して行なうのであれば法人税法上の収益事
業に該当して、納税することになります。なお、実費精算方式の場合の非課税の
特例については前述のA1042をご覧下さい。

> 実施サークルに全額支払い、その後実施サークルからは任意の寄付がもしもき
> た場合、実施サークルに第三者性がなくなるなどの問題が起こるでしょうか?

実施サークルにNPO法人からは独立した意思決定機関があるのであれば問題あ
りません。

                  公認会計士・赤塚和俊
Re: 実施にあたってのボランティア団体の協力 投稿者:いわ 投稿日:2002/05/24(Fri) 21:35:00 No.1003
い> どのへんから請負契約となる可能性が強くなるでしょうか?

あ> ただし自治体であれば委託もしくは請負であるならば、
あ> きちんと契約を結ぶはずだと思います。

契約を結べば、その契約通りということですね。
そうでないときには、どのように判断したらよいのか、よくわかりません。

小額のものに対して手間をかけていると、物質的にも人的にも費用がかさんで、
生産的でないことから、ある程度の額は正式な手続が不要、みたいなものが
ないのでしょうか?

ところで、厳密的な話の続きで、

あ> 実施サークルにNPO法人からは独立した意思決定機関があるのであれば問題あ
あ> りません。

最低限なにを満たすと独立した意志決定機関があるとみなされるのでしょうか?

小規模なサークルでは、支援依頼の話を聞いた人たち程度で対応できそうなら
支援依頼を引き受けるというような状況は起こり得るのですが、
そのようなサークルではNPOからの支援依頼を受けられないのでしょうか?

よろしくお願いします。
Re: 実施にあたってのボランティア団体の協力 投稿者:公認会計士・赤塚和俊 投稿日:2002/05/25(Sat) 08:28:00 No.1004
いわさん

> 契約を結べば、その契約通りということですね。
> そうでないときには、どのように判断したらよいのか、よくわかりません。

自治体が契約を結ばないということは、請負とも委託とも認識していないと解釈
していいと思います。つまり単に実費を支払っているだけということです。

> 小額のものに対して手間をかけていると、物質的にも人的にも費用がかさんで、
> 生産的でないことから、ある程度の額は正式な手続が不要、みたいなものが
> ないのでしょうか?

あります。自治体であれば規定で裁量の範囲が決められています。小額のもので
あれば担当者の判断でいいということです。もちろん規定で認められているわけ
ですから、それが正式な手続ということになります。

いわ> あ> 実施サークルにNPO法人からは独立した意思決定機関があるのであれば問題あ
いわ> あ> りません。
いわ>
いわ> 最低限なにを満たすと独立した意志決定機関があるとみなされるのでしょうか?

意思決定機関があるということは、言いかえれば相手に依頼を拒否する自由が
あるかどうかということです。場合によっては「機関」ではなく「個人」かも
知れませんが、問題は仕事を依頼する側の支配下にあるかどうかです。形式的
にではなく実質的に拒否する権限があるとすれば、それは独立した意志決定機
関があるということです。

                 公認会計士・赤塚和俊
Re: 実施にあたってのボランティア団体の協力 投稿者:いわ 投稿日:2002/05/27(Mon) 22:14:00 No.1005
赤塚さま:

どうもありがとうございました。

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