記事No |
: 10006 |
件名 |
: Re: 議事録署名人について |
投稿日 |
: 2011/07/17(Sun) 07:16:05 |
投稿者 |
: 弁護士 浅野晋 |
参照先 |
: |
あきしま さん
(質問では「登記する必要がある」とのことですが、じつはこれだけではなんの登記か分かりません。おそらく、理事会で理事を選任するとの定款の定めがあるのではないかと思われますので、それを前提にお答えします。)
理事会の議事録署名人については、法令には何等の定めもありませんから、原則としては、誰が署名人になっても問題ありません。もちろん定款等に定めがある場合はそれによることになります。
ただ、例えば理事の登記をする場合など、議事録が登記申請の添付書面として必要とされる場合には、商業登記規則第61条の定めに基づく必要があります。
NPO法人の登記の根拠法令は「組合等登記令」ですが、この組合等登記令第25条は、商業登記法第148条を準用しています。この商業登記法第148条は省令(商業登記法施行規則)への委任規定ですが、この「省令」である商業登記規則第61条4項は次のように定めています。
第61条 (添付書面)
4 代表取締役又は代表執行役の就任による変更の登記の申請書には、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める印鑑につき市区町村長の作成した証明書を添付しなければならない。ただし、当該印鑑と変更前の代表取締役又は代表執行役(取締役を兼ねる者に限る。)が登記所に提出している印鑑とが同一であるときは、この限りでない。
一 株主総会又は種類株主総会の決議によつて代表取締役を定めた場合 議長及び出席した取締役が株主総会又は種類株主総会の議事録に押印した印鑑
二 取締役の互選によつて代表取締役を定めた場合取締役がその互選を証する書面に押印した印鑑
三 取締役会の決議によつて代表取締役又は代表執行役を選定した場合 出席し た取締役及び監査役が取締役会の議事録に押印した印鑑
NPO法人の場合、理事会は法定の組織ではありませんから、上記第61条4項三号ではなく第二号が適用されます。
すなわち、議事録を提出する場合、理事が議事録に押印し、その理事の印鑑証明書を呈するする必要があることになります。
理事でない人が署名捺印していても、単なる余事記載であり問題はないと思いますが、登記所によって取り扱いが違う可能性もありますので、管轄の登記所に問い合わせてみてください。
なお、問い合わせるのが面倒でしたら、理事が署名押印した登記用の議事録を作っても良いと思います。署名人が違う二通りの議事録が存在することになりますが、議事録署名人の署名押印は、議事録に記載された内容の真実性を証明するという趣旨のものですから、内容が同じであれば問題ありません。
弁護士 浅野晋