記事No |
: 9 |
件名 |
: Re: ボランティア vs NPO |
投稿日 |
: 2000/01/14(Fri) 11:11:00 |
投稿者 |
: シーズ事務局(M) |
参照先 |
: |
ときどき「あの団体は、NPOのくせにお金を稼いでいるのはおかしい」とか、
「ボランティアでやっているのだから収益事業を行わないのが当たり前」
という言葉を聞くことがあります。
これは、ボランティア活動の特徴である「無報酬性」と、
NPO活動の特徴である「非営利性」とを混同しているために起こる誤解です。
非営利性というのは、団体としては、活動経費や管理費などを稼ぐけれど、
そこで余ったお金(利益)を仲間で分配しない(個人の懐にいれない)で、
次の活動に使うことを意味しています。
一方、無報酬性というのは、個人が働いたことの対価としてお金(報酬)を
もらわないことを意味しています。
ボランティアというのは、「個人」に注目した言葉であって、
NPOというのは「団体」に注目した言葉であるということです。
この場合、NPOが職員を雇っている場合の給料というのは、
団体の経費であって、利益の分配には当たりません。
NPOにとっては、団体としてお金を稼ぎ、その団体のなかに報酬をもらう職員と、
報酬をもらわないボランティアがいることはむしろ当然の姿だといえます。
また、ボランティアとNPOでは、ボランティアが活動に参加する側であるのに対して、
NPOはボランティアの参加する場をつくる、参加を求める側であるということも違いでしょう。
これらのことから、単なるボランティアの集まりとNPOでは、
その組織のあり方、マネジメントなどが大きく異なってきます。
NPOにおいては、その目的達成と、組織の維持・管理・発展のために、
資金と人材を広く調達し、人を雇うこともあれば、企業や行政と契約を結んだり、
取引を行ったりしていかなければなりません。
このように団体が、団体として継続的に社会関係を作っていかなければならないとき、
つまり、今日の社会は、社会関係は契約関係として現れますから、
団体としての契約の主体となれる必要が生じるわけです。
NPO法というのは、そのような団体が
団体として社会関係を築いていけるような法的地位を
団体に与える制度であるといえます。
NPO法というのは、また団体の内部に関して、
目的や責任の在り方を明確にするという意味をもっています。
定款で目的を定め、組織を定義する必要があります。
ボランティア活動なら、簡単に目的を変えることもできますが、
NPO法人なら、目的を変えるには、法的手続が必要となります。
法人となるとやりにくいことも出てきます。
しかし、それが法人の信用にもなるわけです。