記事No |
: 9889 |
件名 |
: Re: 理事会の電子決済について |
投稿日 |
: 2011/05/20(Fri) 10:44:16 |
投稿者 |
: 弁護士 浅野晋 |
参照先 |
: |
NPO文化財保存支援機構 さん
現在の定款の定めでは「メールでの決済(裁)」はできませんが、定款を変更すれば可能です。
定款では、「理事会」が業務決定の議決機関として位置づけられているようですが、NPO法には「理事会」についての定めがありません。
すなわち「理事会」は、定款で設置される任意の機関です。
それではどうして理事会で業務を決定することができるのかというと、その根拠はNPO法第17条にあります。
NPO法第17条は「業務の執行」について、次のように定めています。
第17条 特定非営利活動法人の業務は、定款に特別の定めのないときは、理事の過半数をもって決する。
この条文は、
①定款に定めがないときは、NPO法人の業務は「理事の過半数」で決める。
②しかし、定款で定めをすれば、他の決め方をすることができる。
ということを意味しています。
そして、「理事会」が業務を決定するというのは、この②にあたります。
しかも、NPO法には、理事会について全く何の定めもありませんから、理事会での議事の決定方法について、「メールで決裁」(議案について、理事の賛否の投票をメールで行う方式)するように定款で定めれば、それは有効です。
しかし、現在の定款では、「理事会」は、理事が一堂に会して(同時に同じ場所に集まって)会議体を構成して、そこで多数決により議決するという形態ですので、、「メールで決裁」(議案について、理事の賛否の投票をメールで行う方式)はできないことになります。
なお、上記の「理事の過半数をもって決する。」というNPO法第17条の条文は、必ずしも会議体での議決をすることを前提とは指定ません。いわゆる「持ち回り決議」であっても、それが「理事の過半数」であればOKという趣旨の条文です。
弁護士 浅野晋