新寄付税制でどう変わる?!企業の社会貢献のかたちーパナソニック金村俊治氏インタビュー
企業とNPO・NGOの距離をぐっと近づけた、新寄付税制。それにともない、企業にもどのような形で、NPO・NGOと付き合い、社会貢献活動に参画してゆくのか、明確なスタンスが求められる時代になりました。
これからのCSRの広がりの中で、企業が持つべき、社会への姿勢とは?
普段から、「NPOのキャパシティビルディング活動」という、従来の企業のCSRとは一味違ったNPO支援を行い、また、震災直後から会社一丸となって復興支援に取り組んでいるパナソニック株式会社。
その、社会文化グループ 参事・金村俊治さんに、お話をお伺いしました。
1.今回の改正、パナソニックはどう捉える?
―今回、認定NPO法改正や、新寄付税制によって、NPOへの支援がしやすくなったと思いますが、パナソニックのような社会貢献に力を入れている企業にとっては、どんな意味を持つのでしょうか?
もともと私たちは、お金の損得で支援するNPOを選んでいるわけではなく、ミッション・ビジョンや活動が優れているかどうか、お互いに共感できるかと考え、時間をかけて信頼関係を築きながらお付き合いを深めていくようにしています。ですから、今回の寄付税制の変更によって、私たちの活動に大きな変化があるわけではありませんが、これからCSRに力を入れようとしている企業にとっては、今回の法改正は、一歩踏み出すきっかけになるかもしれません。
―NPO側としては、新しくできた「3k×100」(3000円の寄付を100人から集めれば、賛同者が多い証拠であるとして、認定NPOになれる制度)で盛り上がっています。3000円を100人なら、いけるんじゃないか、と。
3k×100は重要なキーですね。この制度によって、3つの動きが生まれるのではないでしょうか。
まず一つ目、これが一番重要なのですが、寄付集めに積極的になるNPOが増えるでしょう。100人以上を目指してアプローチしようとすれば、今まであまりNPOや市民活動に接する機会がなかったような人びとにもリーチすることになります。それによって、多くの人が、社会の中の課題を今まで以上に知ることになり、今までの社会システムの中では選挙と税によってしか社会に関われなかったのが、NPOを応援する事で課題が解決できるんだ、それならば、NPOを通して課題解決に関わろう、と考える人が増えると思われます。
二つ目は、その裏返しですが、NPO自身の変化が見込めます。今まで、たとえば事業収入があるとか、会員を増やすことで安定した財源を確保する方針で活動しているなど、寄付を意識していなかった団体もあったと思います。そんなNPOが、情報や活動を世の中に開示しよう、積極的に発信しようという風に意識や活動が変わってくる。より積極的に社会に踏み込み、課題を解決してゆこうと考えているNPOにとっては、認定をもらうということが、自分たちの姿勢を社会に見せるひとつの指標になるし、自己変革にもつながるのではないかと思います。社会的責任を取る姿勢のあるNPOであれば、この機会に認定を取らないと恥ずかしい、という風になることもあるかもしれませんね。
三つ目は、大きな社会の変化ですが、日本での寄付文化の創造です。4万以上のNPOが寄付集めに一生懸命になれば、自然と寄付が身近なものになってくるはずです。
この3つの観点で、3k×100によって、日本のNPO活動に良いドライブがかかるのではないかと、期待しています。